親に内容証明を送るべきか?トラブルを解決するための注意点と手順

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はじめに|親への内容証明は「最後の手札」です

「貸したお金を返してくれない」
「勝手に自分の名義を使われた」
「実家の問題で話が全く通じない」

実の親に対して「内容証明を送る」という決断をするまでには、相当な葛藤があったはずです。

本当は話し合いで解決したいけれど、何度言っても聞き流される。
そんな絶望感の中にいる方も多いでしょう。

しかし、親に内容証明を送ることは、「家族関係の修復が難しくなる」という大きなリスクを伴います。

2026年現在、高齢化社会の中で「親族間のトラブル」は非常に増えています。
一方で、法律には「身内ならではの特殊なルール」も存在します。

この記事では、親に内容証明を送る際の手順や注意点、そしてリスクを最小限にする方法を、日常的な言葉で解説します。

第1章:親に内容証明を送る「主な3つのケース」

最近、特に相談が多い事例を紹介します。

1. 貸し付けたお金の返済請求

「家を買う頭金を貸した」「生活費を立て替えた」など、親への貸し付けが回収できなくなったケースです。
身内だと「あげたものだと思った」と言い逃れされやすいため、証拠を残すために送ります。

2. 無断での名義利用・使い込み

親が子供の銀行口座を管理しており、勝手にお金を引き出した。
あるいは子供名義で勝手に借金をした、といった深刻なケースです。

3. 相続・実家の管理問題

実家の処分について、親が頑なに拒否し続けている場合です。
2025年から「相続登記の義務化」が始まっているため、放置すると子供であるあなたに罰則が及ぶリスクがあることから、やむを得ず通知を送るケースが増えています。

第2章:知っておきたい「親族相盗例」のルール

親にお金を使い込まれた場合、「泥棒だ!警察に突き出してやる!」と思うかもしれません。
しかし、ここには法律の高いハードルがあります。

1. 身内同士の盗みは罰せられない?

日本の法律には、配偶者や親子などの間で行われた「窃盗」や「横領」については、刑を免除するというルールがあります。
これが「親族相盗例(しんぞくそうとうれい)」です。

2. 内容証明の意味が変わる

警察が動いてくれない可能性が高いため、親との争いは基本的に「民事(お金の取り合い)」になります。
そのため、内容証明で「いつ、いくら返してほしいと言ったか」という記録を残すことが、裁判で勝つための命綱になります。

第3章:親世代との「デジタル・ギャップ」によるトラブル

2026年現在、スマホやネットを通じた親子間トラブルが急増しています。

1. 親による「子供名義」のアプリ決済

キャッシュレス決済が当たり前になり、親が子供の古いスマホをそのまま使ったりすることで、子供名義で高額な買い物をしたり、ネットローンを組んでしまう事件が起きています。

2. ネット詐欺に加担させられるリスク

親が投資詐欺などに騙され、子供の口座を「受け取り用」として勝手に使ってしまうこともあります。
こうした犯罪に巻き込まれるのを防ぐために、あえて厳しい「内容証明」という形で、拒絶の意思を示す必要があります。

第4章:親に内容証明を送る「3つの大きなメリット」

勇気を出して送ることで、得られる効果もあります。

1. 「本気度」を伝えられる

口頭での言い合いは「親子喧嘩」で終わってしまいます。
しかし、書面が届くことで、親は「子供は本気で法的な準備をしている」と認識し、ようやく話し合いに応じることがあります。

2. 「時効」を一時的に止められる

お金の請求には時効があります。
内容証明を送ることで、時効が完成するのを6ヶ月間遅らせることができます。

3. 裁判の証拠になる

将来、家庭裁判所での調停や民事裁判になった際、「私は努力して改善を求めました」という動かぬ証拠になります。

第5章:【重要】親が「認知症」だった場合の大問題

内容証明を送る前に、最も注意すべきなのが「親の判断能力」です。

1. 認知症の親に送っても「無効」になる?

もし親に重度の認知症があり、内容証明の意味が理解できない状態であれば、その通知は法的に意味をなさない(意思無能力)とされる可能性が高いです。

2. 成年後見制度の検討

内容証明を送るよりも、裁判所に申し立てて「後見人」をつけてもらう方が、財産トラブルを解決する近道になることもあります。
専門家は、親の状態を見て「内容証明が有効か、それとも別の手続きが必要か」をアドバイスします。

第6章:【実務】親に送る内容証明の「3つのトーン」

相手が親だからこそ、言葉の強さを戦略的に使い分けましょう。

1. 【修復型】話し合いを促す

「今後も親子として付き合いたいからこそ、今回の問題を解決したいです」と添えます。
感情的な反発を抑えつつ、誠実さを伝える方法です。

2. 【警告型】第三者が入っていることを示す

「行政書士のアドバイスを受け、本書面を作成しました」と記します。
「個人の感情ではなく、社会的なルールとして動いている」ことを示します。

3. 【断絶型】法的措置を前提とする

「〇月〇日までに回答がない場合、直ちに訴訟に移行します」と言い切ります。
すでに修復が難しい場合、これ以上なめられないための最後の手段です。

第7章:送った後の「親の反応」と対策

送った後に何が起きるかを予測しておきましょう。

1. 親が「親戚に泣きつく」パターン

「あの子からひどい手紙が来た」と言いふらされることがあります。
これに備えて、事前に信頼できる親戚には「やむを得ず送った」と根回しをしておくと、あなたの立場を守れます。

2. 親が「逆上して自宅に来る」パターン

怒った親が自宅や職場に押しかけてくるリスクもあります。
その場合は、警察に相談する、あるいは「今後は専門家を通してください」と一貫して伝え、直接の接触を避ける勇気が必要です。

第8章:プロ(行政書士)に文面を任せる価値

親子間の手紙は、どうしても「過去の恨みつらみ」が混じってしまいます。
しかし、それでは相手に届きません。

1. 感情を「法的な事実」に変換する

「あの時ひどいことを言った」という不満は、法律上はあまり意味がありません。
プロはそれを「〇年〇月〇日、〇〇の合意があった」という事実に変換します。
これが、親に「言い逃れできない」と思わせる力になります。

2. 行政書士の「職印」の重み

行政書士名義で届く封筒には、国家資格者の「職印」が押されています。
これを見るだけで、親の態度は「子供への甘え」から「法律への恐れ」に変わることがあります。

まとめ|あなたの人生を守るための決断として

親に内容証明を送ることは、決して「親不孝」ではありません。
それは、あなたが抱えている理不尽なトラブルに区切りをつけ、自分自身の人生を守るための正当な手段です。

2026年の日本において、家族の形は多様化しています。
法的な解決を選ぶことは決して恥ずかしいことではありません。

むしろ、曖昧なままにして将来の大きな破綻を招くより、今のうちに明確な意思表示をすることが、本当の意味での「誠実さ」になることもあります。

一人で悩まず、まずは現状を整理してみてください。
その「最初の一歩」が、あなたの心の平穏を取り戻す鍵になります。

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※本記事は2026年現在の民法および親族法に基づき作成されています。親子間の問題は感情的なもつれが深いため、送付後にさらなるトラブルが生じる可能性もあります。実務を進める際は、必ず行政書士や弁護士などの専門家のアドバイスを受けてください。