企業法務に「本ばかり読んでいる」は褒め言葉である理由

リーリエ行政書士事務所では、企業の法務体制の構築支援や、契約書の作成、コンプライアンス体制の強化を支援しています。特に、法務部門で働く方々からのご相談には「他部署からの理解が得られにくい」「契約書チェックに時間がかかる理由を説明しにくい」といった声が多く寄せられています。

本記事では、企業法務の仕事が持つ特殊性と、「本ばかり読んでいるように見える」理由、そしてその時間がいかに企業にとって価値あるものであるかを解説します。法務部門の方だけでなく、他部門の方にも理解していただきたい内容です。

この記事でわかることは次のとおりです。

  • 法務部門が担う役割と、ビジネス全体における意義

  • 法務担当者が常に「学び続ける」必要がある理由

  • 他部署との間に生まれる誤解と、正しい理解のための視点

  • 法務の時間を「投資」として認識すべき理由

2. 法務部門の役割と特殊性(約600字)

企業の法務部門と聞くと、「契約書をチェックする部署」「トラブル対応の窓口」といったイメージを持たれることが多いですが、実際の役割はそれだけにとどまりません。法務部門は、企業の事業活動において、法的な観点から「どのように実現できるか」を設計する役割を担っています。

たとえば、新規事業の立ち上げ、海外進出、M&Aといった戦略において、法的リスクを確認するだけでなく、そのリスクをコントロールしながら実現する方法を模索し、具体的な手段を提案するのが法務の仕事です。言い換えれば、ビジネスの設計図を描くエンジニアであり、企業の安全を守る保険でもあります。

さらに、法務部門は企業を取り巻くあらゆる法律、規制、通達、ガイドライン、行政の解釈変更などに常に目を光らせ、法的な変更に迅速に対応しなければなりません。これらに対する感度と対応力が、企業を訴訟や行政指導、取引停止などのリスクから守る最後の砦となるのです。

このように、法務部門は「目に見えないリスク」と「見落とされがちな制度の落とし穴」に先回りし、ビジネスを円滑かつ合法的に推進するために欠かせない存在です。

3. 絶えず学習が求められる背景(約600字)

法務担当者が「本ばかり読んでいる」と揶揄されることがありますが、それには明確な理由があります。法律の世界は、日々変化し続けているためです。

たとえば、会社法、民法、個人情報保護法、景品表示法、労働関連法、知的財産関連法など、企業活動に関係する法律は多岐にわたり、それぞれが改正の対象になります。加えて、裁判所が示す新たな判例が、これまでの解釈を大きく変えることも珍しくありません。

つまり、昨日まで正しかった知識が、今日には通用しない可能性があるのです。法務担当者はこうした変化に対応するため、日々の学習と情報収集を欠かすことができません。扱う法分野は幅広く、それぞれに深い専門性が求められます。

また、これらの知識を「自社の事業特性にどう適用するか」を判断するのが法務の仕事です。単に法律を知っているだけではなく、それをビジネス現場に落とし込み、リスクを抑えながら目的を達成する道筋を見出すには、実務経験と理論の両方が不可欠です。

このように、法務担当者の読書や調査時間は「時間稼ぎ」ではなく、企業を法的トラブルから守るための不可欠な準備作業なのです。

4. 法務担当者の誤解と現実(約500字)

多くの法務担当者が直面しているのは、他部署からの誤解です。営業や開発など、成果が目に見えやすい部門からは、法務の仕事が理解されにくい傾向にあります。

たとえば、「契約書の返答が遅い」「いつも調査ばかりしている」といった声が聞かれることがあります。しかし、その背景には、契約の一文が将来的に企業の責任を問われるリスクを含んでいるかもしれないという慎重な検討があります。

法務担当者が行っているのは、将来の訴訟リスク、行政処分リスク、取引停止リスクを未然に防ぐための、極めて高密度なリスク管理です。それは「見えない仕事」であり、すぐに成果が出るものではありませんが、企業全体を支える基盤です。

「本ばかり読んでいる」と揶揄されるその時間は、法律改正や判例、ガイドラインなどを正しく理解し、適用方法を考えるために必要不可欠な投資なのです。

5. 法務時間への理解が企業を救う(約400字)

法務部門の仕事は、単なる「守り」ではありません。むしろ、ビジネスの設計図を描き、会社全体の前進を支える「推進力」でもあります。

そのためには、企業全体が「法務の時間」の価値を理解する必要があります。調査や読書、検討にかける時間を「遅延」ではなく、「リスクの排除と将来の保険」として捉える視点が不可欠です。

こうした法務部門の仕事に対して、組織として十分なリソースと時間、そして信頼を与えることは、最終的に企業の健全な成長と信頼獲得につながります。

6. まとめと組織的な支援の必要性(約500字)

企業法務の世界では、「昨日までの常識が通用しない」という状況が日常です。そのため、法務担当者は常に学び、調査し、知識をアップデートすることを求められています。この時間は決して無駄ではなく、企業の未来を守るための必要不可欠な準備時間です。

「本ばかり読んでいるように見える」のは、その裏にある高度な知識の吸収、そしてビジネスへの適用という目に見えにくいプロセスがあるからです。企業がこうした法務部門の仕事に理解を示し、尊重し、連携することで、事業の安定性と発展性は大きく高まります。

リーリエ行政書士事務所では、企業法務の外部支援として、契約書のレビューや各種コンプライアンス対応、内部体制整備の支援を行っています。法務リソースが限られている企業様に対して、専門的な視点から実務をサポートしております。

法務部門の方も、他部門の方も、ぜひこの機会に「法務の時間」の価値について再認識し、より良い協力体制の構築に向けた第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

詳しくは こちらのサイト をご覧ください。