誓約書が必要となる具体的な状況とその背景事情とは
リーリエ行政書士事務所です。当事務所では契約書や内容証明郵便の作成を数多く手がけており、その中でも「誓約書」のご相談は年々増加しています。誓約書というと特殊な場面で使う印象を持たれがちですが、実は私たちの身近なトラブルや交渉の場面で活用されることが多くあります。
特に、不倫・金銭の貸し借り・労務トラブルなどの個人間の問題では、口約束だけでは後のトラブルにつながるケースが少なくありません。そこで、法的な強制力は限定的であっても、書面による約束を残すことが重要となります。
この記事では、誓約書が必要とされる代表的な3つのケースを取り上げ、なぜその場面で誓約書が有効とされるのか、その背景事情を解説します。
この記事でわかること
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誓約書が必要とされる典型的なシチュエーション
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各場面で誓約書を用いる理由と背景事情
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実際のトラブルを想定した使い方のヒント
Contents
誓約書が必要とされる場面とは
不貞行為(不倫)問題での誓約書
配偶者の不倫が発覚した場合、慰謝料の支払いだけでなく、再発防止や関係の遮断を目的として誓約書が作成されます。不倫相手に対して「二度と会わない」「連絡をしない」「今後一切関わらない」といった内容を明記し、署名と押印を求めることで、再発防止の抑止力とすることができます。
また、こうした内容が誓約書として残ることで、仮に後日トラブルが再燃した場合の交渉材料にもなります。精神的な苦痛を受けた側にとっては、誓約書が一つの「けじめ」となることもあります。
金銭トラブルや借金問題での誓約書
親族や友人間の金銭貸借では、契約書を交わさずに貸してしまうことが少なくありません。その結果、「貸した」「借りていない」といった認識のズレが生じ、関係が悪化することがあります。こうしたケースで、誓約書を使って返済期限や返済方法、金額などを明確にすることで、双方の認識を一致させる効果が生まれます。
また、相手に反省の意思があるときには、「今後は遅延なく支払う」「一括返済する」などの内容を記載することによって、履行への責任感を持たせることができます。
労働や業務上のトラブルでの誓約書
職場での不正行為、情報漏えい、パワハラなどのトラブルにおいても誓約書は使われます。たとえば、退職時に「顧客情報を漏らさない」「競合他社に転職しない」「今後会社に損害を与えるような行動を取らない」といった約束を文書で交わす場面があります。
特に、機密性の高い業務や営業秘密に関わる部署に勤務していた従業員との間では、誓約書がトラブル防止の大きな手段となります。口頭での注意や指導だけでは不十分と判断された場合に、書面としての記録を残す意義があります。
誓約書が使われる背景事情とは
書面に残すことで約束の履行を明確にするため
誓約書の大きな役割は、約束の内容を明文化し、後から「言った・言わない」といったトラブルを防ぐ点にあります。特に個人間のやりとりでは、正式な契約書を作成しないことが多く、曖昧な認識が誤解や対立の原因となります。
書面に残すことで、当事者の合意内容が明確になり、第三者が見ても判断できる形になります。
心理的なプレッシャーを与えるため
署名や押印が求められる誓約書は、相手に「この約束は守らなければならない」という強い心理的な圧力を与えることができます。これは、特に感情の絡む不倫や金銭問題で効果を発揮します。
当事者にとって、紙に書き残された約束は軽視できない存在となり、その後の行動に抑止力を働かせます。
証拠として残す必要があるため
誓約書は、将来的に裁判や示談交渉などに発展した際に、「当時どのような約束をしていたのか」を証明する資料として使われます。もちろん誓約書単体ですべてを証明できるとは限りませんが、その他の資料や証言と合わせて証拠能力を持つことがあります。
このように、書面としての「記録」を残すことは、万一のときの備えとして極めて重要です。
まとめ
誓約書は、特別な契約書ではなく、身近なトラブルや交渉の場面で多く使われている実用的な書類です。不倫問題では関係の遮断や再発防止、金銭トラブルでは返済条件の明確化、労働問題では企業のリスク回避の手段として、それぞれ重要な役割を果たしています。
背景には、口約束だけでは信頼を維持できないという現実と、書面としての証拠が後の紛争予防に役立つという実務的な事情があります。誓約書は法律的な知識がなくても作成することは可能ですが、その内容や書き方によって効力が大きく変わるため、不安がある場合は専門家への相談が有効です。
リーリエ行政書士事務所では、個別の事情に応じた誓約書の作成やチェックを行っています。東京都江東区を中心に、オンラインでのご相談も受け付けていますので、必要な方はお気軽にお問い合わせください。
詳しくは こちらのサイト をご覧ください。
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