公正証書の作成依頼
必要な準備と注意点
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公正証書の作成依頼
必要な準備と注意点
はじめに なぜ今、公正証書が必要とされるのか
私たちの生活は、無数の「約束(契約)」の上に成り立っています。結婚、離婚、住宅の購入、知人への金銭の貸し借り、親族間での遺産相続。これら人生の節目で交わされる約束は、互いの信頼関係があるうちは機能しますが、ひとたび関係がこじれれば、その言動は曖昧になり、言った・言わないの不毛な争いへと発展します。
こうしたトラブルから自分自身、そして大切な家族を守るために、現代において最強の「防衛手段」となるのが「公正証書」です。
公正証書は、単なる契約書ではありません。公証人という法律の専門家が作成し、国がその真正性を担保する「公文書」です。もし相手が約束を破れば、裁判という長く苦しいプロセスを経ることなく、相手の給与や財産を差し押さえる力を持っています。しかし、その強力すぎる効力ゆえに、作成には緻密な準備とリスク回避の知識が不可欠です。
1. 公正証書の基本情報 その正体と絶大な威力
公正証書とは何か?
公正証書とは、法務大臣によって任命された「公証人」が、当事者の嘱託(依頼)に基づいて作成する文書です。作成場所は全国にある「公証役場」に限定されており、そこで完成した書面は、私たちが自分たちで作成する「私文書」とは一線を画す証拠力を持ちます。
公証人は法律実務の頂点を極めた人物が務めます。彼らが関与することで、内容が「法律に違反していないか」「本人の自由な意思に基づいているか」が厳格にチェックされます。
公正証書の3つの圧倒的メリット
- 強力な証拠力(真正の担保): 公証役場で本人確認を経て作成されるため、後日「そんなものは書いていない」といった反論が事実上不可能になります。
- 執行力の付与(裁判なしで差し押さえ): 最大のメリットです。「強制執行認諾文言」を入れることで、金銭債務の不履行があった際、裁判所に訴えを起こさずとも給与や財産を差し押さえることが可能です。
- 原本の安全性: 原本は公証役場で原則20年以上保管されます。紛失、火災、相手による改ざんの心配がありません。
2. 公正証書作成の具体的な手順 後悔しないためのプロセス
当事者間の合意(ここが最も重要)
公証役場は「紛争を解決する場所」ではありません。まずは当事者同士で話し合い、養育費の額、支払い期日、遅延時のペナルティなどを明確に決める必要があります。
案文の作成と公証役場の選定
合意内容をまとめた「案文(下書き)」を作成します。公正証書は全国どこの公証役場でも作成可能です。
必要書類の収集と事前相談
印鑑登録証明書、戸籍謄本、登記事項証明書などを持参またはメール・FAXで送り、事前相談を行います。公証人が内容を確認し、法的な文言に整えた「嘱託案」を作成します。
作成当日の署名・捺印
予約日時に全員(または代理人)が集まり、内容を確認した後、署名・実印の押印を行います。
3. 公正証書作成にかかる費用と時間 コストとスピードの現実
作成には「公証人手数料」がかかります。費用を左右するのは「目的価額(契約によって動くお金の価値)」です。
- 100万円以下:7,000円
- 200万円以下:7,000円
- 500万円以下:11,000円
- 1,000万円以下:17,000円
※離婚などの場合、養育費や慰謝料、財産分与を合算するため、トータルで3万円〜7万円程度になるケースが一般的です。作成期間は、スムーズにいけば2週間、難航すれば1ヶ月以上かかると見ておきましょう。
4. 公正証書作成の注意点 絶対に知っておくべき「落とし穴」
- 代理人作成の限界: 公正証書遺言や任意後見契約は、本人の出頭が必須です。
- 公証人は「あなたの味方」ではない: 公証人は「中立」です。あなたにとって有利な条件や、将来のリスクを回避する特約を自ら提案してはくれません。案文は自分で作り込む必要があります。
- 執行できるのは「お金」に関する約束だけ: 強制執行(差し押さえ)が効くのは原則として「金銭の支払い」に限られます。面会交流などは直接的な強制執行はできません。
5. ケース別 公正証書で「守るべきもの」の具体例
【離婚】養育費の不払いを防ぐための「最強の盾」
養育費の支払い期日、進学時の費用負担、年金分割などを詳細に記載。公正証書があれば、相手の協力なしに分割手続きが進められるケースもあります。
【遺言】親族間の「争族」を回避する「最後の愛」
自筆の遺言書にある無効リスクを解消。家庭裁判所の「検認」が不要なため、死後すぐに手続きが可能です。
【金銭貸借】友人・知人への貸し付け
「期限の利益の喪失」条項を入れることで、一度の遅延で全額請求を可能にし、給与を直接差し押さえる準備をします。
6. トラブルを避けるためのポイントと、専門家の活用
最も多いトラブルは「当日になって相手が来ない」「案文の段階で合意が覆る」というものです。これを防ぐために、行政書士の介入を強く推奨します。
- 「戦える案文」の設計: あなたの立場を有利にし、将来のリスクを予測した特約を組み込みます。
- 専門的な交渉: 厳格な公証人の要求に対し、あなたの希望が通る代替案を提案します。
- 精神的負担の軽減: 相手方との直接的なやり取りを代行し、感情的な対立を避けます。
- 完璧な書類収集: 職権での書類収集により、不備による当日キャンセルを防ぎます。
7. 行政書士に相談する重要性 将来の「平穏」への投資
行政書士に依頼することは、単なる書類作成代行ではありません。「将来発生するかもしれない数十万、数百万円の損害を、数万円で事前に回避する」という、極めて賢明な投資なのです。
行政書士が提供する価値
- 予防法務: トラブルを未然に防ぐ法的整合性のチェック。
- 戦略的文書: 相手が逃げられない、隙のない構成の構築。
- ワンストップ: 相談から段取りまで一貫したサポート。
SNSの不審な動きを、確実な証拠に変えたい方へ
まとめ あなたの未来を公正証書で確定させる
公正証書の作成には準備が必要ですが、その手間を惜しんだために財産や権利を失う事例は少なくありません。「合意内容の整理」「役場の手続きの把握」「専門家の活用」の3ステップを踏むことで、約束は国が守る「確かな権利」へと変わります。
あなたの勇気ある一歩が、将来のあなた自身と、あなたの大切な人を守る唯一の手段になるのです。




