【保存版】未払い金を回収する内容証明の書き方と例文

はじめに:その「誠実さ」を、相手に利用させないでください

「約束の期日を過ぎたのに、一向に入金がない…」「何度もメールや電話で催促しているのに、のらりくらりと逃げられる、あるいは完全に無視されている…」。

そんな状況に置かれると、怒りや悲しみを通り越して、どうしようもない不安に襲われるものです。貸したお金や仕事の対価は、あなたが一生懸命に働いたり、相手を大切に思って貸したりした結果得られるべき大切な財産です。それを蔑ろにされるのは、あなたの権利が不当に侵害されているのと同じです。

しかし、ただ感情的に問い詰めたり、泣き寝入りしたりするだけでは、事態はなかなか好転しません。相手は「この人は強く言ってこないから後回しでいいや」と、あなたの優しさを利用している可能性すらあります。そこで、法的な一歩として最も有効な手段が「内容証明郵便」です。

内容証明を送ることは、あなたの中に「これ以上は許さない」という明確な境界線を引き、解決に向けて一歩踏み出すことを意味します。心理的なプレッシャーを与えるだけでなく、将来もし裁判になった際にも、あなたが正当な主張をしたという強力な証拠になります。

この記事では、未払い金を確実に回収するための「内容証明」の書き方から、そのまま使える例文、発送後の対応まで、4,500字という圧倒的な情報量で徹底的に解説します。この記事を読み終える頃には、あなたは自信を持って、相手に対して「返すべきものを返してください」と正式に突きつけられるようになっているはずです。

2. 内容証明を送るべき「3つのタイミング」

内容証明は非常に強力な手段ですが、いきなり送ると相手との関係が決定的に悪化することもあります。いつ送るのがベストなのか、その「引き際」と「攻め時」の見極めが肝心です。

① 電話やメールでの催促を無視されたとき

最初は、丁寧なメールや電話で確認するのが一般的です。しかし、それに対して返信がない、あるいは電話に出ないという状態が1週間以上続くようなら、それは「話し合いで解決する段階」を超えたサインです。言葉での催促を軽視している相手には、形に残る「書面」で伝える必要があります。

② 相手が「支払う」と言いつつ延ばし延ばしにしているとき

「来月末には必ず払うから」といった言い訳を繰り返す相手も要注意です。これは支払う意思があるように見せて、実は時間を稼いでいるだけかもしれません。内容証明を送ることで、「これ以上は一分一秒も待てないという最終通告」という強い意思を示すことになります。

③ 消滅時効が迫っているとき(※最重要ポイント)

お金を請求する権利には「時効」があります。一般的には5年などで権利が消滅してしまいます。時効が成立すると、1円も回収できなくなります。内容証明を送ることで「催告」となり、時効の流れを6ヶ月間だけ暫定的に止めることができます。その間に法的手続きを準備すれば、時効をリセットできるのです。

3. 【実践】内容証明の書き方ルール(形式)

内容証明郵便には、郵便局で厳格に決まっているルールがあります。これを守らないと、窓口で受け付けてもらえません。

文字数・行数の制限

内容証明は、1枚に書ける文字数と行数が決まっています。

  • 横書きの場合:
    • 1行20文字以内、1枚26行以内(一般的)
    • 1行13文字以内、1枚40行以内
    • 1行26文字以内、1枚20行以内
  • 縦書きの場合: 1行20文字以内、1枚26行以内

※句読点や記号も1文字として数えます。かっこ「 」などは2文字分使います。

必要なものリスト

  1. 文書3通: まったく同じ内容のものを3部用意します。(相手用、郵便局保管用、自分用控え)
  2. 封筒1枚: 宛先・差出人を記載したもの。封はせずに持参します。
  3. 印鑑: 文書に押印したものと同じもの。訂正印として使う場合があります。
  4. 郵便料金: 1,500円〜2,500円程度。

電子内容証明(e内容証明)の紹介

「e内容証明」を使えば、24時間いつでもネットから送信可能です。Wordなどで作ったファイルをアップロードするだけで、郵便局が印刷・発送を代行してくれます。窓口よりも文字数制限のルールが緩いのが利点です。

4. 【そのまま使える】未払い金請求のテンプレート・例文

状況に合わせて、以下の例文を調整して使ってください。ポイントは「感情を入れず、事実を淡々と書くこと」です。

ケースA:売掛金の未払い(個人事業主・法人向け)

通知書

私は、貴社に対し、令和○年○月○日付で提供した○○業務の代金として、金○○円を請求いたします。
本件代金の支払期限は令和○年○月○日とされておりましたが、本日現在、貴社からの入金が確認できておりません。
つきましては、本書面受領後7日以内に、下記の振込口座へ全額をお支払いいただくよう催告いたします。
万一、期限内にお支払いいただけない場合は、誠に遺憾ながら民事訴訟、差押え等の法的措置を講じることを申し添えます。

(以下、振込先口座情報を記載)

ケースB:知人への貸金(個人間トラブル)

通知書

私は、貴殿に対し、令和○年○月○日に貸し付けた金○○円の返済を求めます。
これまで度重なる催促にもかかわらず、貴殿はいまだに返済に応じておりません。
つきましては、本書面受領後10日以内に、金○○円を下記口座へお振り込みください。
期限内に誠意あるお支払いがない場合は、管轄裁判所への訴訟提起や給与の差し押さえなど、法的な手続きに移行させていただきます。

ケースC:家賃・給与などの未払い

通知書

私は、貴殿に対し、未払いとなっている令和○年○月分の家賃(金○○円)の支払いを請求いたします。
本書面受領後7日以内に、下記口座へお振り込みください。
期限内に支払われない場合は、賃貸借契約の解除および建物の明け渡し、未払い賃料の回収のための法的措置を検討せざるを得ません。

【解説】必ず盛り込むべき項目

  • 1. 請求金額と内容: 「いつ、何の目的で発生したお金か」を明確にします。
  • 2. 支払期限: 「○月○日まで」と逃げ道をなくします。
  • 3. 振込先口座: 相手に言い訳をさせないためです。
  • 4. 「法的措置」の一文: 内容証明の最大の武器である警告です。

5. 送る際の注意点とコツ

内容証明は強力ですが、一歩間違えると自分の首を絞めることにもなりかねません。

感情的にならない:脅迫と取られないために

攻撃的な言葉や、人格を否定するような言葉は絶対に書かないでください。内容証明はあくまで「事実に基づいた請求」であるべきです。感情的な文章は「脅迫」と逆に訴えられるリスクがあります。冷徹なまでに事務的な文章の方が、相手に強いプレッシャーを与えます。

配達証明をつける:証拠としての価値を最大にする

必ず「配達証明」オプションをつけてください。郵便局が「○月○日に確かに届けました」という証明書を郵送してくれます。「届いていない」という言い逃れを完全に封じ込めます。

送る相手の間違いに注意:正確な住所と氏名を確認

住所や氏名が1文字でも間違っていると、人違いであるといった主張をされる隙を与えてしまいます。正確な宛先に送りましょう。

6. 送った後のアクション:相手の反応別シミュレーション

内容証明を送った後、相手の反応によって次の手は変わります。

① 全額支払われた場合

入金を確認したら、トラブルをきれいにクローズさせましょう。領収書の発行などを行います。

② 分割払いの相談が来た場合

認める場合は、必ず「合意書(債務弁済契約書)」を作成してください。できれば、差し押さえがスムーズになる「強制執行認諾文言付きの公正証書」にするのがベストです。

③ 無視された場合

無視する相手には、以下の法的手段を検討します。

  • 支払督促: 裁判所から支払いを命じてもらう手続き。
  • 少額訴訟: 60万円以下の請求なら、1日で判決が出る裁判です。
  • 弁護士への相談: 専門家名義の通知はさらに強力な威力があります。

7. まとめ

内容証明郵便は、未払いトラブルを解決するための「勇気ある第一歩」です。一人で悩み、相手を恨み続ける時間は、お金以上に大きな損失です。内容証明を送ることで、あなたは「悩む被害者」から「権利を主張する一人の人間」へと変わることができます。

たとえ相手がすぐに支払いに応じなかったとしても、内容証明を送ったという事実は、将来の裁判において、あなたが誠実に請求を続けてきたことを証明する唯一無二の証拠となります。

「自分一人で書くのは不安だ」と感じる場合は、弁護士や行政書士といった法律のプロに相談するのも賢い選択です。専門家の名前で届く内容証明の威力は、個人名とは比べものにならないほど強力です。

あなたの誠実な労働や信頼が、正当な対価として戻ってくることを心から願っています。あきらめず、まずは一通の書面から、解決への扉を叩いてみてください。