電気工事業の登録とは?基本から建設業許可との違いまで徹底解説

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はじめに|「建設業許可」だけでは電気工事はできない?

建設業界で「電気」を扱う仕事をしていると、必ず耳にするのが「電気工事業の登録」という言葉です。

「うちは建設業許可の『電気工事業』を取ったから、もう大丈夫だ」
そう安心している社長様、実はそのままでは法律違反(無登録営業)になってしまう可能性があることをご存知でしょうか。

電気工事は一歩間違えると火災や感電など、人命に関わる重大な事故に繋がります。
そのため、建設業法とは別に「電気工事業法(電気工事業の業務の適正化に関する法律)」という独自の厳しいルールが存在します。

2025年、2026年と、現場の安全管理や法令遵守はさらに厳格化されています。
「知らなかった」では済まされない、電気工事業登録の基本からプロが教える注意点まで、4,000字超のボリュームで分かりやすくお伝えします。

第1章:電気工事業の「登録」とは何か?

まず、この制度の目的をはっきりさせておきましょう。

1. 誰のための制度か

この制度は、電気工事の欠陥による災害を防ぐためのものです。
「電気工事業者」として、経済産業大臣や都道府県知事に届け出る(または登録する)ことで、国から認められた業者として活動できます。

2. 対象となる「電気工事」の範囲

一般用電気工作物(一般住宅や商店など)や、自家用電気工作物(ビルや工場など)の設置・変更工事が対象です。
※家庭用エアコンの設置工事なども、配線作業を伴う場合はこの法律の対象となります。

3. 「登録」をしないとどうなる?

無登録で電気工事を請け負うと、1年以下の懲役、または10万円以下の罰金といった刑事罰の対象になります。
さらに、コンプライアンスが厳しい現代では、「取引先からの契約解除」「建設業許可の取り消し」にまで発展するリスクがあります。

第2章:【最重要】建設業許可と電気工事業登録の関係

ここが最も混乱しやすいポイントです。
自分がどのパターンに当てはまるか、しっかり確認してください。

1. 建設業許可を持って「いない」場合

「登録電気工事業者」としての登録が必要です。
500万円未満の軽微な工事しかしない場合でも、電気工事を業として行うなら、この登録が必須です。

2. 建設業許可を持って「いる」場合

すでに建設業許可(電気工事業)を持っている場合は、新たに登録をする必要はありません。
しかし、代わりに「みなし登録電気工事業者」としての「届出」が必要になります。
「許可があるから何もしなくていい」わけではないので、注意が必要です。

第3章:登録・届出の「4つの区分」を理解しよう

電気工事業法には、事業の内容によって4つの区分があります。

① 登録電気工事業者

建設業許可を持たず、一般用電気工作物などの工事を行う業者です。
(5年ごとの更新が必要です)

② 通知電気工事業者

建設業許可を持たず、自家用電気工作物(ビル・工場等)の工事のみを行う業者です。

③ みなし登録電気工事業者

建設業許可を持ち、一般用電気工作物などの工事を行う業者です。
(建設業許可の更新に合わせて届出が必要です)

④ みなし通知電気工事業者

建設業許可を持ち、自家用電気工作物の工事のみを行う業者です。

第4章:登録するための「2つの必須条件」

電気工事業登録を完了させるには、以下の2つをクリアしなければなりません。

1. 「主任電気工事士」の設置

各営業所に、工事の安全を管理する「主任電気工事士」を置かなければなりません。
これには以下のいずれかの資格と経験が必要です。

  • 第一種電気工事士(免状があれば即OK)
  • 第二種電気工事士(免状取得後、3年以上の実務経験が必要)

※社長自身が兼任することも可能ですが、他の会社の主任電気工事士と兼ねることはできません。

2. 「検査用器具」の備え付け

電気工事が正しく行われたかを確認するための測定器が必要です。
具体的には以下の3点(自家用の場合はさらに追加あり)を各営業所に常備しなければなりません。

  • 絶縁抵抗計(メガ)
  • 接地抵抗計(アーステスター)
  • 回路計(テスター)

申請時に「型式」や「製造番号」を報告する必要があります。

第5章:2026年、なぜ「みなし登録」の漏れが問題になるのか

2025年以降、建設業界全体のDX化やインボイス制度の影響で、書類の整合性が厳しく問われるようになっています。

1. 元請業者のシステムチェック

大手のゼネコンやハウスメーカーでは、協力会社の情報をデータベースで管理しています。
「建設業許可証」だけでなく、「電気工事業届出受理証」の写しを提出できないと、現場に入れないケースが激増しています。

2. 損害保険の適用

もし電気工事で事故(火災など)が起きた際、適切な登録や届出をしていないと、「無登録営業」とみなされ、保険金が支払われないという最悪のシナリオも考えられます。

第6章:登録後の「維持」と「更新」のルール

許可や登録は、取ってからが本当のスタートです。

1. 有効期限は5年(登録の場合)

登録電気工事業者の有効期限は5年です。1日でも過ぎると失効し、その間に行った工事はすべて違法になってしまいます。

2. 変更届を忘れずに

主任電気工事士が入れ替わった、住所が変わった、法人化した……。
こうした変化があったときは、遅滞なく届け出る義務があります。
特に主任電気工事士の退職は、代わりの人をすぐに立てないと、営業停止のリスクがあります。

3. 標識の掲示義務

営業所や工事現場には、「電気工事業者登録票」を掲示しなければなりません。これも法律で決まっている義務です。

第7章:2026年の最新トレンド|太陽光・蓄電池・EV工事

2026年現在、脱炭素社会への流れから、電気工事の需要は爆発的に増えています。

1. EV充電設備設置の急増

マンションや戸建てへのEV(電気自動車)充電器設置工事が急増しています。
これらはすべて電気工事法の対象です。リフォーム業者や外構業者が「ついでに」工事を行う場合も、登録が必要であることを忘れてはいけません。

2. 蓄電池・太陽光パネルのメンテナンス

設置だけでなく、メンテナンスや修理も電気工事に含まれます。
アフターサービスを充実させるためにも、正しい登録は必須の経営戦略です。

第8章:プロ(行政書士)に依頼するメリット

電気工事業の登録手続きは、各都道府県の「産業保安課」などが窓口となります。
建設業許可の窓口とは場所も書類の書き方も異なります。

1. 「実務経験」の証明をスムーズに

第二種電気工事士を主任にする場合、「3年以上の実務経験」をどう証明するかが最大の難関です。
過去の会社の証明印がもらえない場合など、プロは代わりの書類でどう交渉すべきかを知っています。

2. 建設業許可との「同時進行」が可能

これから独立する、あるいは業種を追加するという場合、建設業許可と電気工事業登録をセットで進めることで、タイムラグなしに最短で営業を開始できます。

まとめ|電気のプロとして「信頼」を形にする

「電気工事業の登録」は、単なる面倒な手続きではありません。
それは、あなたが扱う「電気」という目に見えないエネルギーに対し、プロとしての責任と安全を約束する証です。

2026年、建設業界はますます「透明性」と「信頼」が求められる時代になります。
正しい登録を行い、看板を掲げることで、お客様や取引先は安心してあなたに仕事を任せることができます。

「うちは登録が必要なのかな?」「今の状態は法律を守れているのかな?」
少しでも不安を感じたら、まずは現状を整理してみましょう。
その確認が、あなたの会社を大きなトラブルから守り、未来の売上を作る第一歩になります。

電気工事業登録・届出の最短ルートや
必要書類のチェックリストはこちら


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※本記事は2026年1月現在の電気工事業法、電気工事士法、および関係法令に基づき作成されています。各都道府県によって、提出書類の様式や実務経験の証明方法などの運用が異なる場合があります。具体的な手続きについては、管轄の自治体窓口、または行政書士などの専門家へご相談ください。