未払い残業代を確実に回収するためのステップ 労基署申告と内容証明郵便の連携活用術
Contents
はじめに
日々の業務に追われる中で、本来支払われるべき残業代が適正に支払われていない。
この問題は、多くの働く人々にとって深刻な悩みです。
特に、会社に直接請求しても無視されたり、曖昧な理由で拒否されたりする状況では、
労働基準監督署、通称労基署への申告を検討される方も多いでしょう。
労基署への申告は、労働基準法違反に対する行政指導として重要な役割を果たします。
一方で、個人の未払い金回収という面では限界があるのも事実です。
本記事では、未払い残業代の回収を確実に進める考え方を整理します。
あわせて、労基署への申告と並行して、行政書士の専門分野である内容証明郵便をどう活用すべきかを解説します。
法的根拠と、実務で使える手順を具体的に確認していきます。
この記事をお読みいただくことで得られる残業代請求の具体的な手段
本記事をお読みいただくことで、未払い残業代の請求が日本の法律でどのように義務付けられているかがわかります。
根拠となる労働基準法の規定を、正確に理解できます。
特に重要なのは消滅時効です。
そして、内容証明郵便が時効に与える法的効果も把握できます。
また、労基署への申告は会社の是正指導を促す手段です。
一方で、内容証明郵便は会社への直接の支払い請求になります。
さらに、法的措置へ進む準備を示す文書でもあります。
この違いを整理し、両者をどう使い分けるかも理解できます。
感情的な交渉に終始せず、法的な文書と根拠に基づいて回収へ進むための知識をご提供します。
サービス残業の常態化と会社との交渉の難しさに直面した事例
ここでは、未払い残業代問題の深刻さを示すため、架空の事例をご紹介します。
あわせて、文書による請求の重要性も確認します。
事例
一般企業の営業職として働くOさんは、終業後も顧客対応や資料作成に追われていました。
しかし会社は固定残業代制を理由に、実態として発生している残業時間の大部分について追加の残業代を支払っていませんでした。
Oさんは過去二年間、月平均八十時間を超える残業を行っていました。
未払い残業代は合計三百万円を超えると試算しました。
Oさんは人事部に口頭で支払いを求めました。
しかし「申請がない」「自己学習で労働時間ではない」などの理由で拒否されました。
労基署への申告も検討しました。
ところが労基署は、是正指導は行う一方で、個人の金銭回収を代行しないと説明しました。
Oさんは板挟みの状況に陥ります。
さらに、請求権が時効にかかるのではないかという不安も強くなっていました。
未払い残業代請求の法的根拠 労働基準法における割増賃金の考え方
未払い残業代の請求は、労働基準法の割増賃金規定を根拠とします。
労働者が法定労働時間を超えて労働した場合、会社には割増賃金の支払い義務があります。
通常賃金より高い率で計算した賃金を支払う必要があります。
この義務を定めたのが、労働基準法第三十七条第一項です。
労働基準法第三十七条第一項 使用者が、労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、
その時間又はその日の労働については、政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
会社が法定労働時間(原則一日八時間・週四十時間)を超えて労働させた場合、
通常賃金の二割五分以上の割増率による賃金を支払う義務があります。
固定残業代制であっても、固定時間を超えた残業分の支払い義務は免れません。
会社が支払いを拒否する行為は、労働基準法違反となり得ます。
民法上の債務不履行に当たる可能性もあります。
残業代請求に不可欠な三つの用語
-
割増賃金
時間外・休日・深夜労働に対して、通常賃金に上乗せして支払われる賃金です。
内容証明で請求する際は、計算根拠を示すと説得力が高まります。 -
消滅時効
残業代請求権には原則三年の時効があります。
時効完成前に対応しないと、会社が時効を主張して支払いを免れる可能性があります。
内容証明による催告には、時効完成を六ヶ月猶予させる効果がある点が重要になります。 -
内容証明郵便
労基署の行政指導とは異なり、労働者が会社へ直接支払いを求める意思を証拠として残す手段です。
時効対策や訴訟準備として不可欠です。
未払い残業代回収では、労基署への申告で是正指導を促します。
それと同時に、内容証明郵便で正式請求と時効対策を行います。
この二段構えが効果的です。
会社に支払いを促す内容証明郵便の作成例と計算の重要性
未払い残業代の内容証明郵便では、請求額の計算根拠を明確に示すことが重要です。
行政書士は、計算書の作成をサポートします。
また、その計算書に基づく請求文書も作成します。
以下は文例です。
未払い残業代請求書(文例)
拝啓
当職は、通知人〇〇(氏名)に代わり、貴社に対し、下記のとおり未払いとなっている残業代及び遅延損害金の支払いを、
労働基準法及び民法の規定に基づき厳粛に催告いたします。
記
一、通知人は、貴社との労働契約に基づき、令和〇年〇月〇日から令和〇年〇月〇日までの期間、貴社の営業職として在籍しておりました。
二、通知人は、上記期間中、貴社の指示または黙示の承認のもと、法定労働時間を超過する時間外労働を行いました。
しかし、貴社は、この時間外労働に対して、労働基準法第三十七条に定める割増賃金を適正に支払っておりません。
三、通知人が貴社に対し請求する未払い残業代の合計金額は、別紙残業代計算書のとおり、金三〇〇万円です。
あわせて、これに対する遅延損害金(退職日の翌日から支払済みに至るまで年三パーセント)も請求いたします。
四、貴社は、本状到達の日から起算して十四日以内に、上記合計金額を下記指定口座へお振込みください。
五、なお、本書面は、貴社に対する民法上の催告に該当します。
よって、消滅時効の完成猶予の法的効果を有します。
万一、上記期限までに本書面に基づく支払いが確認できない場合、通知人はやむを得ず、裁判所への労働審判または訴訟提起などの法的手段に移行いたします。
予めご承知おきください。
その際には、別途、訴訟費用その他一切の費用負担も貴社に請求することになります。
敬具
令和〇年〇月〇日
被通知人 〇〇株式会社 代表者 〇〇 〇〇殿
通知人 〇〇 〇〇 (連絡先 〇〇)
労働基準法の条文を根拠にします。
計算書を別紙で示します。
さらに、時効完成猶予と法的措置への移行を明確にします。
これにより、会社への法的圧力を高められます。
確実な残業代回収を目指すために 正確な文書作成は専門家にお任せください
未払い残業代請求には二つの側面があります。
一つは、労基署への申告という行政手続きです。
もう一つは、内容証明郵便による私法上の請求です。
労基署の指導は回収を直接保証するものではありません。
最終的に回収を目指すなら、内容証明郵便による正確な請求が重要です。
残業代計算は複雑です。誤ると請求の信頼性が損なわれます。
また、内容証明の記載不備があると、時効の完成猶予が得られない可能性もあります。
その結果、請求権を失うリスクが生じます。
専門家への依頼は、正確性の確保に役立ちます。
加えて、労働審判・訴訟準備の観点からも有効です。
法的な文書作成で未払い問題の解決をサポートする行政書士へのご相談窓口
当事務所は、未払い残業代、給与、退職金などの金銭債権を回収するための内容証明郵便の作成を専門としております。
あわせて、正確な残業代計算書の作成もサポートします。
会社と合意に至った場合には、合意書や示談書の作成も支援し、お客様の権利を法的に保護いたします。
ご相談は、お問い合わせフォームまたはLINEにて受け付けております。
給与明細やタイムカード等の資料をご用意いただければ、迅速に試算します。
そのうえで、内容証明郵便の作成に着手できます。
秘密厳守で対応し、返信の早さにも配慮しております。
皆様からのご連絡を心よりお待ち申し上げております。
詳しくは こちらのサイト をご覧ください




