賃貸退去で損しない!原状回復費用と通知書面の正しい使い方
リーリエ行政書士事務所です。賃貸物件を退去する際、「原状回復費用」として高額な請求を受けるトラブルが後を絶ちません。本来、借主が負担すべき範囲は限られており、正しい知識があれば過大な支払いを防ぐことが可能です。
そのためには、ガイドラインに基づいた判断と、請求に納得できない場合の通知書面による対応が鍵となります。この記事では、原状回復費用の基本をおさらいしつつ、通知書の正しい書き方と提出方法まで、実務的に役立つ情報をお届けします。
この記事でわかること
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原状回復費用の正しい理解と判断基準
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請求に対する通知書面の使い方
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書面で主張する際の注意点と実務対応
Contents
原状回復費用とは何か
借主が負担すべき範囲
原状回復とは、借主が入居中に生じた損傷のうち、故意・過失によるものなど、通常使用を超えた損耗を修繕することを意味します。経年劣化や通常の使用による汚れ・傷などは借主の負担には該当しません。
国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも、借主負担とすべき項目が明確に区別されています。これを基準として請求内容を見直すことが大切です。
特約がある場合の取扱い
契約書に原状回復に関する特約がある場合、その内容が優先されることがあります。ただし、特約が有効となるためには「具体性」「明確性」「借主への不利益説明の有無」などの条件を満たしている必要があります。
あいまいな特約や、説明がなかった特約については、無効となる可能性もあるため、安易に従わず内容をよく確認しましょう。
通知書面での主張が有効な理由
口頭交渉では限界がある
退去時に請求が届いた際、口頭や電話で反論しても「言った・言わない」の水掛け論になることがあります。感情的なやり取りに発展すると、冷静な交渉が難しくなり、トラブルが長期化する可能性もあります。
そのようなとき、通知書面という書式を使って自らの主張を明確に記録に残すことが有効です。
書面の効力と相手への心理的圧力
通知書は、内容証明郵便などを通じて送ることで、相手に対して「正式な主張である」という印象を与え、無視や軽視を防ぐことができます。書面には、請求内容に疑義がある旨と、法的根拠に基づいた反論を記載し、回答を求める形が適しています。
通知書面の基本構成と例文
書面に記載すべき内容
通知書には、以下のような構成で記載するのが基本です。
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請求書を受け取った旨
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請求内容に対する疑義
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法的根拠(ガイドライン等)に基づく反論
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回答期限を設けた問い合わせ文
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署名と送付日
通知書面の文例
通 知 書
2025年9月22日
貴社ご送付の「退去精算明細書」を確認いたしましたが、下記項目について請求の根拠に疑義があるため、書面にてご回答をお願いいたします。
記
経年劣化や通常損耗に該当すると考えられる項目について、修繕費をご請求されていますが、国土交通省発行の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、これらは賃貸人が負担すべきとされています。
つきましては、当該項目の請求根拠をご提示いただきたく、お願い申し上げます。
7日以内にご回答がない場合、当該費用についての支払いは拒否させていただきます。
以上
住所
氏名(署名)
書面での交渉時に注意すべきこと
感情的な表現は避ける
主張を正確に伝えることが目的であり、感情的な表現や相手を責めるような記述は避けるべきです。事実に基づいた冷静な文面が、交渉の成功につながります。
配達証明付きの内容証明郵便を使う
内容証明郵便は、いつ・どのような文書を・誰に送ったかが証明される手段です。万が一、今後法的な場面になった場合にも有効な証拠として使えます。
まとめ
賃貸退去時の原状回復費用は、法律やガイドラインに基づいた範囲で負担すべきものであり、不当な請求には冷静に対応することが重要です。口頭でのやり取りではなく、通知書面での主張を行うことで、自身の立場を明確にし、トラブルの早期解決につながります。
リーリエ行政書士事務所では、退去時の請求内容のチェックや、通知書面・内容証明郵便の作成支援を行っております。東京都江東区を拠点に、全国からのオンライン相談にも対応可能です。退去費用の請求に疑問を感じた際は、どうぞお気軽にご相談ください。
詳しくは こちらのサイト をご覧ください。
