民泊利用者が未成年だった場合のリスクと対応策|同意書の重要性

はじめに:未成年者の宿泊トラブルは民泊運営における大きなリスク

リーリエ行政書士事務所では、民泊運営に関わる各種書類の整備やトラブル予防策の相談を日々受け付けています。中でも、未成年者のみでの宿泊予約に関するトラブルは、運営者が想定していなかった重大な問題に発展するケースがあります。

仮に未成年者が無断で予約・宿泊し、設備の破損や騒音トラブルなどを引き起こした場合、その責任を追及することは簡単ではありません。また、同意を得ずに宿泊したことが保護者とのトラブルや法的責任につながることもあります。

この記事では、未成年者による民泊利用がもたらす法的リスクと、保護者の同意書を通じた適切な予防策について解説します。

この記事でわかること

  • 未成年者のみの宿泊が引き起こす法的・運営上のリスク

  • 民法上の契約に関する基本的な考え方

  • トラブル事例とその対処法

  • 同意書の必要性と実務上の注意点

未成年者と宿泊契約に関する基本知識

民法における未成年者の契約行為とは

民法上、未成年者(20歳未満、現行法では18歳未満)の契約行為は、原則として法定代理人(通常は保護者)の同意がなければ効力を持たない、または取り消すことができるとされています。

つまり、保護者の同意なく未成年者が宿泊予約を行った場合、その契約は後に無効とされる可能性があるということです。これにより、宿泊費の回収が困難になるほか、宿泊中に発生した損害への賠償請求も成立しにくくなります。

保護者の同意がない場合の運営者のリスク

未成年者のみの宿泊では、設備破損や騒音トラブル、緊急時の対応など、管理責任が問われやすい状況が発生します。また、万が一の事故や事件が起きた場合、保護者からのクレームや法的責任追及の対象となる可能性もあります。

さらに、地域や物件によっては、管理規約や条例により「未成年者の単独宿泊は禁止」とされているケースもあり、違反すれば行政指導の対象となることもあります。

実際にあった未成年者によるトラブル事例

事例1:予約サイトを通じた無断宿泊と設備破損

Aさんが運営する物件に、予約サイト経由で宿泊したBさんは実は17歳で、保護者の同意を得ていないまま友人と複数人で宿泊していました。チェックアウト後、テレビの破損が発覚し、Aさんが弁償を求めたところ、本人は「支払う義務はない」と主張し、保護者も「知らなかった」として支払いを拒否。契約自体が無効と判断され、結局損害を回収することはできませんでした。

事例2:緊急時対応で保護者不在の問題

Cさんの民泊施設に宿泊していた未成年者Dさんが、深夜に体調不良を訴え救急車を呼ぶ事態になりました。保護者に連絡が取れず、医療機関でも受診手続きに時間がかかり、対応に苦慮しました。運営者としても、安全管理上の重大な問題として記録され、以後は保護者の同意書を必須とする対応に切り替えました。

事例3:虚偽の年齢申告と身元確認の不足

Eさんのケースでは、宿泊予約時に年齢を問わなかったため、チェックイン時に成人と偽っていた未成年者が複数名で滞在していました。騒音問題が発生し、近隣からの苦情を受けた際に年齢が判明。Eさんは虚偽申告を理由に責任回避を試みましたが、年齢確認を怠っていた点を指摘され、行政指導を受けることとなりました。

同意書の整備と運営体制の見直し

保護者同意書を取得する意義

未成年者の宿泊を認める場合は、必ず保護者の署名入り同意書を提出させることが重要です。同意書には、宿泊日・人数・宿泊施設名・保護者氏名・連絡先・同意内容を明記し、可能であれば保護者の身分証の写しも提出してもらうことが望まれます。

この書面があることで、万一のトラブル時にも責任の所在を明確にしやすくなり、損害賠償請求などの際に証拠として使用できます。

年齢確認と予約段階での対応強化

予約時には、年齢の確認を必須とし、未成年であることが分かった場合は「保護者の同意書提出が必須である」と明確に通知する運営体制が求められます。チェックイン時にも本人確認書類の提示を求め、年齢が不一致であれば宿泊を断る方針を徹底することが必要です。

また、予約サイトや自社の予約ページに「未成年者のみの宿泊は不可」「必ず保護者の同意が必要」と明記することで、未然にトラブルを防ぐ効果があります。

まとめ:未成年者宿泊は慎重に対応を

民泊運営において、未成年者のみの宿泊は契約トラブルや損害賠償のリスクを伴います。軽視せず、年齢確認・同意書取得・宿泊ルールの明示を徹底することで、安全で安定した運営が可能になります。

法的リスクを最小限に抑えるためにも、書面による証拠を残し、本人確認を含めた対応マニュアルを整備することが求められます。

リーリエ行政書士事務所では、未成年者対応に必要な保護者同意書のひな形作成、利用規約の整備、年齢確認体制の構築など、民泊運営者を支援する体制を整えています。東京都江東区を中心にご相談を受け付けておりますので、少しでも不安がある方はぜひ一度ご相談ください。

詳しくは こちらのサイト をご覧ください。