刑事告訴は本当に受理される?確率と通報の正しい進め方

刑事告訴したい…でも、本当に受理されるのか不安なあなたへ

ストーカー、詐欺、脅迫、名誉毀損──誰かの行為によって深く傷ついたとき、「刑事告訴したい」と考えるのは自然なことです。ですが、実際には「警察に相談しても相手にされなかった」「被害届さえ出せなかった」といった声も少なくありません。

私たち**リーリエ行政書士事務所(東京都江東区)**にも、「告訴状を出しても受理される確率ってどれくらい?」「どうすれば確実に動いてもらえるの?」というご相談が寄せられています。

この記事では、刑事告訴が受理される現実、告訴状の重要性、そして実際に受理された事例まで、やさしく解説していきます。


基礎|そもそも刑事告訴ってなに?受理の仕組みと確率の実情

刑事告訴とは

刑事告訴とは、犯罪の被害者やその法定代理人などの関係者が、「この人を処罰してほしい」という意思を警察や検察といった捜査機関に正式に申し出る手続きのことです。単に「被害を届け出る(被害届)」だけでなく、加害者に対する処罰を求める意思表示が含まれる点が特徴です。告訴が受理されると、捜査機関には原則として捜査を開始する義務が生じます。

受理されるかどうかは、なにで決まる?

刑事告訴が受理されるかどうかは、様々な観点から総合的に判断されます。

  • 犯罪の成立要件:告訴内容が刑法などの法律に定められた犯罪の構成要件を満たしているかどうかが重要です。
  • 客観的な証拠の有無:告訴内容を裏付ける客観的な証拠(メッセージ履歴、音声、画像、書類など)がどれだけ揃っているかが非常に重要です。証拠が不足していれば、捜査機関も動きにくいのが実情です。
  • 被害の具体性・深刻性:被害の内容が具体的であるか、また被害者にとってどれだけ深刻な影響を与えているかも判断材料となります。
  • 告訴意思の明確性:「処罰してほしい」という告訴人の明確な意思が示されているかどうかも重要です。
  • 公益性:事案の性質が公共の利益に関わるかどうかも考慮されることがあります。

これらの要素が総合的に判断され、捜査機関が「捜査の必要性がある」と判断した場合に受理へと進みます。

告訴状の受理確率は?

刑事告訴の受理確率について、明確な統計は公表されていません。しかし、一般的には、口頭だけの申告や、証拠が不十分な状態での相談では「門前払い」されるケースも少なくないと言われています。

一方で、書面で正式に告訴状を提出し、その内容に客観性・具体性があり、十分な証拠が添付されている場合は、受理される可能性は大きく上がります。警察や検察も、告訴状という形で正式に提出されたものについては、慎重に検討せざるを得ないためです。つまり、告訴の準備と提出方法が、受理されるかどうかのカギを握ると言えるでしょう。


事例1|ネットでの誹謗中傷に対し、告訴が受理されたケース

20代の女性Aさんは、見知らぬ人物にSNS上で自身の顔写真と、根拠のない誹謗中傷の内容を無断で投稿され、精神的に大きなダメージを受けました。自宅から外出することも億劫になるほど、心身ともに疲弊してしまったAさんは、警察に相談に行きました。

しかし、初回の相談では「ネットのトラブルは民事で解決してほしい」「忙しいので、まずはSNS運営に通報を」と、具体的な捜査に繋がらない対応をされてしまいました。Aさんは諦めきれず、リーリエ行政書士事務所に相談。行政書士は、Aさんの状況を詳しくヒアリングし、投稿内容のスクリーンショット、投稿日時、URLなどの証拠を丁寧に整理するよう指示しました。

さらに、行政書士の助力のもと、被害の経緯と名誉毀損の法的構成要件を明確に盛り込んだ詳細な告訴状を作成。これまでのやり取りの証拠資料を添付し、再度警察署に提出しました。その結果、警察署は告訴を受理し、正式に捜査を開始。投稿者は事情聴取のうえ、書類送検されるに至りました。諦めずに準備を重ね、専門家のサポートを得て告訴状を提出したことが、警察を動かす決定打となりました。


事例2|元交際相手からのストーカー行為で、告訴が通った例

30代の男性Bさんは、別れた元交際相手から繰り返し無言電話がかかってきたり、自宅や職場の近くで待ち伏せされたりするストーカー行為に悩まされていました。精神的な不安が限界に達し、警察に相談しました。

最初の相談では「まだ被害が少ないので、様子見にしましょう」「まずは電話番号を変えてみては」と、具体的な行動に繋がるアドバイスは得られませんでした。Bさんは一人で抱え込まず、リーリエ行政書士事務所に相談。行政書士は、Bさんに対し、ストーカー行為の詳細な記録を残すようアドバイスしました。

Bさんは、ストーカー行為があった日時、場所、内容を日記に記録し、無言電話は録音、LINEでの一方的なメッセージは履歴として保存しました。これらの客観的な証拠が揃った段階で、行政書士がストーカー規制法に照らした告訴状を作成し、証拠とともに警察に提出しました。

書面で具体的な被害状況と証拠が示されたことで、警察は事態の深刻さを認識。結果として、Bさんの告訴は正式に受理され、警察による捜査が開始されました。証拠を地道に集め、専門家の力を借りて適切な形で提出したことが、警察を動かす鍵となりました。


事例3|投資詐欺の被害にあい、集団告訴で受理されたパターン

40代の男性Cさんは、SNS経由で知り合った人物に「絶対儲かる投資話がある」と持ちかけられ、数十万円を支払ったものの、その後相手と音信不通になってしまう投資詐欺の被害に遭いました。Cさんはすぐに警察に相談しましたが、「類似の詐欺事案は多く、個別の少額被害では動くのが難しい」という反応でした。

Cさんは、インターネットで情報収集を進めるうちに、自身と同様の被害者が複数いることを知りました。そこで、被害者同士で連絡を取り合い、集団で告訴に踏み切ることを決意しました。

リーリエ行政書士事務所に相談したCさんたちは、行政書士のサポートのもと、それぞれが受けた被害の状況、支払い記録、相手とのやり取りの履歴などを詳しくまとめ、複数人で連名の告訴状を作成しました。詐欺の手口や被害額、被害者の人数などを具体的に記載した告訴状は、警察にとって「組織的犯行の可能性が高い」と判断する重要な情報となりました。

その結果、警察は数ヶ月後に告訴を受理し、大々的な捜査が開始されました。個別の被害では動いてもらえなくても、組織的な被害として証拠をまとめ、集団で告訴したことが、捜査機関を動かすことに成功した好事例です。


対処法|告訴を受理してもらうための準備と手続きのポイント

刑事告訴を確実に受理してもらうためには、事前の準備と適切な手続きが非常に重要です。

1. 書面での提出が基本(口頭だけでは受理されないことも)

警察に口頭で被害を訴えるだけでは、単なる「相談」として扱われ、正式な告訴として受理されないケースが多くあります。告訴の意思を明確にし、警察に捜査の義務を発生させるためには、告訴状として書面で提出することが基本です。告訴状には、告訴人の情報、被告訴人の情報(不明な場合はその旨)、被害の内容、適用されるべき犯罪名、処罰を求める意思などを明確に記載します。

2. 客観的な証拠(LINE、音声、画像、支払い記録など)を整理

告訴を受理してもらう上で最も重要なのが、客観的な証拠です。以下の例を参考に、関連する証拠を可能な限り集め、整理しておきましょう。

  • メッセージ履歴:LINE、SNSのDM、メールなどでのやり取りのスクリーンショットや印刷物。日時が明記されていることが重要です。
  • 音声データ:電話の録音、会話の録音など。
  • 画像・動画:被害状況や加害者の姿を捉えたもの。
  • 支払い記録:銀行の振込明細、クレジットカードの利用履歴など。詐欺事件などで特に重要です。
  • 診断書:暴行や傷害事件、精神的被害の場合など。
  • その他:防犯カメラの映像、目撃者の証言、ウェブページの魚拓(ウェブ魚拓)など。

証拠は、告訴内容の信憑性を高め、捜査機関が動き出すための強力な根拠となります。

3. 被害内容を冷静に、具体的にまとめる

告訴状や警察への説明では、感情的にならず、被害の内容を冷静に、そして具体的にまとめることが大切です。いつ、どこで、誰が、何をしたのか、そしてそれによってどのような被害を受けたのかを、時系列に沿って明確に記述しましょう。抽象的な表現ではなく、事実に基づいた客観的な記述を心がけてください。

4. 法的な視点で整理された「告訴状」が受理のカギ

告訴状は、単に被害を訴えるだけでなく、刑事訴訟法上の要件を満たし、法的な視点で整理されている必要があります。どの刑法上の犯罪に該当するのか、その構成要件が満たされているのか、といった点を踏まえて作成された告訴状は、捜査機関に「捜査の必要性がある」と判断させやすくなります。専門知識がない方が完璧な告訴状を作成するのは非常に困難です。

5. 必要に応じて、行政書士や弁護士など専門家に依頼を

刑事告訴の手続きは複雑であり、法的な知識が不可欠です。ご自身で準備を進めるのが難しいと感じたら、迷わず行政書士弁護士といった専門家に相談しましょう。

行政書士は、告訴状の作成や証拠の整理、警察との橋渡し役としてサポートできます。弁護士は、告訴代理人として警察・検察との交渉、裁判手続きまで含めて全面的にサポートできます。それぞれの専門分野を踏まえ、あなたの状況に合った専門家を選ぶことが、告訴受理への近道となります。


まとめ|泣き寝入りしないために、できる準備から始めましょう

刑事告訴は誰でもできる手続きですが、適切な準備と手順を踏まないと受理されにくいのが現実です。「被害を訴えたのに動いてくれなかった」と後悔しないためにも、書面での証拠提出と法的整理が何よりも大切です。

リーリエ行政書士事務所では、告訴状の作成や、証拠収集・整理のサポートも承っております。あなたの被害を無駄にせず、加害者を処罰へと導くために、私たちができる限りのお手伝いをいたします。

「本当に受理されるのか不安…」「何から始めればいいか分からない」という方は、ぜひ一度私たちにご相談ください。泣き寝入りしないために、今できる準備から一緒に始めましょう。