名誉毀損をやめさせたい!内容証明での対処方法と文例を解説
Contents
名誉毀損をやめさせたい!内容証明での対処方法と文例を解説
ネットやSNSでの誹謗中傷…どう対処すればいい?
突然、SNSやネット掲示板で自分の名前や職場の情報、根も葉もない噂を書かれてしまったら──怒りや不安を感じるのは当然のことです。名誉毀損は放置すればするほど被害が広がり、精神的なダメージも大きくなります。
私たちリーリエ行政書士事務所(東京都江東区)には、「どうやって誹謗中傷を止めさせればいいのか」「警察に行くべきか、それとも弁護士?」というご相談が増えています。インターネットの普及により、誰でも簡単に情報を発信できるようになった反面、根拠のない誹謗中傷や名誉毀損の被害も深刻化しています。
実は、「内容証明郵便」での通知が、相手にプレッシャーをかけ、名誉毀損をやめさせる有効な手段になることがあります。訴訟を起こす前の段階で、相手に対して法的な意思を明確に伝えることで、問題が早期解決に向かうケースも少なくありません。
この記事では、名誉毀損と内容証明の関係について、具体的な事例や対処法とあわせてわかりやすく解説します。被害に遭われた方が適切な対応を取れるよう、実践的な情報をお伝えしていきます。
名誉毀損とは?そして、なぜ内容証明が効果的なのか
名誉毀損とは?
名誉毀損とは、他人の社会的評価を下げるような発言や書き込みをすることです。現在では、SNSやブログ、掲示板、クチコミサイトなどが主な舞台となっています。法律的には、公然と事実を摘示して人の名誉を毀損した場合に成立する犯罪行為として位置づけられています。
重要なのは、その内容が「事実」であるかどうかは関係なく、虚偽の情報であっても事実の情報であっても、他人の社会的評価を低下させる内容であれば名誉毀損に該当する可能性があるということです。ただし、公共の利害に関する事実で、公益を図る目的があり、真実性が証明された場合などは例外的に違法性が阻却されることもあります。
なぜ放置してはいけない?
名誉毀損を放置することの危険性は計り知れません。事実でないことを多くの人が信じてしまったり、職場や人間関係に深刻な影響が出たりする恐れがあります。特にインターネット上の情報は拡散力が強く、一度広まってしまうと完全に削除することが困難になる場合もあります。
また、被害者の精神的苦痛も時間の経過とともに深刻化する傾向があります。「いつか忘れられるだろう」と考えて放置していると、検索結果に残り続けたり、新たな誹謗中傷を誘発したりする可能性もあります。
内容証明郵便って何?
内容証明郵便とは、「誰が・いつ・どんな内容を送ったか」を郵便局が公的に証明してくれる特殊な郵便サービスです。通常の手紙と異なり、送付した内容が公的な記録として残るため、後に法的な問題に発展した場合の重要な証拠となります。
誹謗中傷の加害者に対し、「記録が残る正式な通知」として強い心理的圧力をかけることができます。多くの場合、内容証明を受け取った相手は「法的措置を取られる可能性がある」と認識し、自主的に問題のある行動を改める傾向があります。
名誉毀損で内容証明を使う目的
内容証明郵便を活用する主な目的は以下の通りです。まず、書き込みの削除を求めることが最も一般的な使用目的です。次に、謝罪や損害賠償請求の意思を明確に伝えることで、被害の回復を図ります。さらに、再発防止を強く警告することで、今後同様の行為が繰り返されることを防止します。これらの目的を達成するために、法的根拠を明示した上で、具体的な要求事項と対応期限を設定して送付することが重要です。
職場の噂を掲示板に書かれた…匿名でも対応できたケース
30代の女性Aさんが経験したケースをご紹介します。Aさんは転職したばかりの時期に、匿名のネット掲示板で転職先の企業名と個人的なプライベート事情を詳細に書き込まれるという被害に遭いました。投稿内容には「あの会社の新人は問題がある」「私生活も乱れている」といった根拠のない誹謗中傷が含まれていました。
Aさんは最初、匿名での投稿のため対応は困難だと考えていましたが、専門家のアドバイスを受けて適切な対応を取ることにしました。まず、該当する投稿のURLと内容を詳細にスクリーンショットで保存し、投稿日時も記録しました。その上で、サイト管理者と投稿者の両方に向けた内容証明を作成しました。
内容証明では「発信者が特定できる場合、名誉毀損として法的措置をとる用意がある」と明記し、具体的な法的根拠も示しました。また、投稿内容が事実無根であることを明確に反駁し、削除要求と損害賠償請求の可能性についても言及しました。送付から一週間後、該当するスレッド全体が削除され、それ以降同様の書き込みは確認されていません。
この事例では、匿名投稿であっても毅然とした対応を取ることで、相手に心理的プレッシャーを与え、問題解決に至ったことがポイントです。投稿者は法的リスクを恐れて自主的に削除に応じたと考えられます。
Instagramで虚偽の暴露をされたが、投稿を削除させた事例
20代の男性Bさんのケースでは、元交際相手によるSNSでの誹謗中傷が問題となりました。別れた後、元交際相手がInstagramのストーリー機能を使って「浮気男」「詐欺師」「借金まみれ」といった虚偽の内容を投稿し、Bさんの友人や職場関係者にも見られる状況となっていました。
Bさんは被害の拡大を防ぐため、まずストーリーの内容をスクリーンショットで証拠保全し、投稿日時や閲覧者数なども記録しました。その上で、元交際相手の住所を調べて内容証明郵便を送付することにしました。
内容証明では、投稿内容が事実無根であることを具体的に反駁し、「即時の削除と謝罪がなければ法的措置に移る」と明記しました。また、名誉毀損罪や侮辱罪に該当する可能性があることを法的根拠とともに示し、損害賠償請求の意思も明確に伝えました。さらに、今後一切の誹謗中傷行為を行わないよう警告しました。
内容証明を送付した当日中に、元交際相手から連絡があり、投稿が削除されました。その後、簡単な謝罪文も受け取り、問題は円満に解決しました。このケースでは、迅速な対応と明確な法的意思の表明が功を奏したと言えるでしょう。
近隣トラブルから口コミサイトに悪評を投稿されたケース
40代の男性Cさんは、自宅近隣住民とのちょっとしたトラブルがきっかけで、地域の口コミサイトに実名で悪質な投稿をされる被害に遭いました。「○○さんの家には近づかない方がいい」「常識のない危険な人物」といった内容で、近隣住民の間で噂が広がる事態となっていました。
Cさんはまず、該当する投稿内容を証拠として保全し、サイト運営会社にも削除依頼を行いました。しかし、サイト側からは「当事者間で解決してください」との回答があり、なかなか削除に応じてもらえませんでした。
そこで、投稿者に向けた内容証明を作成することにしました。内容証明では、投稿内容が事実に反する誹謗中傷であることを具体的に指摘し、投稿の即時削除と名誉回復措置を要求しました。また、近隣住民への謝罪と、今後同様の行為を行わない旨の誓約書の提出も求めました。
内容証明送付後、投稿者から連絡があり、サイト運営会社に削除要請を行うとの回答がありました。その結果、問題の投稿はサイト上から削除され、被害が拡大する前に問題は収束しました。また、投稿者からは口頭での謝罪もあり、近隣関係も徐々に改善されました。
このケースでは、サイト運営会社への直接的なアプローチと並行して、投稿者本人への法的アプローチを行うことで、効果的な解決につながったことがポイントです。
名誉毀損への対応に失敗しないためのポイント
証拠の確保が第一
名誉毀損への対応で最も重要なのは、確実な証拠の保全です。SNSや掲示板の書き込みは投稿者によっていつでも削除される可能性があるため、発見次第すぐにスクリーンショットを撮影し、日時、URL、投稿者情報なども含めて記録を残すことが重要です。
可能であれば、複数のデバイスや方法で証拠を保存し、公証役場での確定日付の取得なども検討しましょう。また、被害の程度を示すため、投稿の拡散状況や閲覧数、他者の反応なども記録しておくと、後の損害立証に有効です。
感情的な行動は逆効果
誹謗中傷を受けた時の怒りや悔しさは理解できますが、感情的になってSNSで反論したり、相手を攻撃したりする行為は絶対に避けるべきです。そのような行動は、逆に自分も名誉毀損や侮辱の加害者となるリスクがあります。
冷静さを保ち、法的に適切な手続きを踏むことが、最終的に自分の利益につながります。感情的な対応は相手に付け入る隙を与えることにもなりかねません。
内容証明はプロに相談
内容証明郵便は確かに有効な手段ですが、書き方を誤ると効果が薄れるだけでなく、逆に「脅迫」や「強要」として受け取られる危険もあります。法的根拠の示し方、要求内容の妥当性、表現の適切性など、専門的な知識が必要な場面も多くあります。
行政書士や弁護士など法律の専門家に依頼すれば、法的に適切で効果的な内容証明を作成でき、安心して対応できます。費用はかかりますが、失敗のリスクを考えれば十分に価値のある投資と言えるでしょう。
すぐに訴訟する前に
名誉毀損の被害を受けたからといって、いきなり訴訟を起こすのは現実的ではありません。訴訟には時間も費用もかかり、精神的な負担も大きくなります。まずは内容証明でこちらの意思を明確に伝え、それでも相手が対応しない場合に弁護士への相談や訴訟を検討するというステップが現実的です。
多くのケースでは、内容証明の段階で問題が解決することも多く、コストパフォーマンスの面でも優れた手段と言えます。
名誉を守るために、冷静で正しい一手を
名誉毀損の被害は、放っておくとあなたの信用や人間関係を大きく損なう可能性があります。デジタル時代において、一度インターネット上に拡散された情報は完全に消去することが困難な場合も多く、長期間にわたって悪影響を及ぼし続ける可能性があります。
だからこそ、被害を発見したら速やかに適切な対応を取ることが重要です。まずは冷静に証拠を集め、法的に有効なかたちで相手に意思を伝えることが何より大切です。感情的になることなく、戦略的なアプローチを取ることで、多くの問題は早期解決が可能です。
リーリエ行政書士事務所では、名誉毀損への対応に特化した内容証明の作成サポートを行っています。豊富な経験と実績に基づき、お客様一人ひとりの状況に最適な解決策をご提案いたします。
「自分ひとりではどうにもならない」と感じたら、ぜひ一度ご相談ください。私たちが、あなたの味方になります。法的な知識と経験を活かして、あなたの名誉と尊厳を守るお手伝いをさせていただきます。
