フリーランスが契約書で守るべき3つの権利を行政書士がお伝えします!

【はじめに】

「納品したのに“イメージと違ったから”と報酬を一部カットされた」

これは、東京都江東区にあるリーリエ行政書士事務所に実際に寄せられた、あるフリーランスの方からの相談です。

Webデザインやライティング、動画編集などを手がけるフリーランスにとって、発注者との契約は安心して仕事をするための「命綱」。しかし、その契約が曖昧だったために、不当な対応を受けてしまうケースが少なくありません。

この記事では、フリーランスが契約書で守るべき3つの基本的な権利について、行政書士の視点からわかりやすく解説します。

この記事でわかること

フリーランスと契約書の重要な関係

著作権や報酬に関するトラブル事例

守るべき権利と書き方のコツ

専門家に相談するタイミングと方法

【フリーランスが見落としがちな契約戦略】

行政書士とは、契約書の作成や法的書類の作成に特化した国家資格者です。企業間契約だけでなく、個人事業主やフリーランスが直面する契約トラブルにも対応しています。

フリーランスは雇用されているわけではないため、労働法の保護を受けることができません。業務委託契約に基づいて仕事をする立場上、条件はすべて契約書の内容に委ねられます。

にもかかわらず、仕事の開始前に書面を交わさない、または簡易なメールのみで済ませてしまうことが多く、トラブルの火種となっています。

よくある誤解は「小規模な仕事なら契約書はいらない」「知り合い相手だから大丈夫」という思い込みです。しかし、トラブルが起きたときに頼れるのは“記録”と“書面”だけです。

納期や報酬額、修正回数の範囲、著作権の帰属など、基本的な条件を明記しておくことで、自分の立場と仕事の成果を正当に守ることができます。

【事例紹介:著作権と報酬トラブル】

ケース1:動画編集者が納品後に著作権の譲渡を一方的に求められた

30代男性の動画編集者が、企業案件でプロモーション動画を制作。業務委託契約書はなく、メールのやり取りのみ。納品後、クライアントから「二次利用を予定しているので、すべての著作権を放棄してほしい」と言われました。

報酬はすでに支払われていたものの、動画の追加利用に対して一切の対価が発生せず、不満を感じて相談。

行政書士としては、契約書に「著作権の帰属」について明記しておくべきであり、「著作権は制作者に帰属し、譲渡する場合は別途契約を締結する」といった条文を入れておくことで、こうしたトラブルを防げるとアドバイスしました。

ケース2:イラストレーターが報酬を一部カットされた

20代女性のイラストレーターが、キャラクターデザイン3点を納品。しかし「思っていたイメージと違う」と言われ、報酬のうち3割を減額されて振り込まれました。

契約書ではなく、SNS上のやり取りのみで依頼を受けていたため、報酬額や修正条件について明確な根拠がなく、返金要求も難航。

「納品後の修正は2回まで」「報酬額は成果物1点あたり〇円」など、事前に書面で合意しておけば、依頼者側の主観的な判断による報酬カットを防ぐことができます。

【書面で守る3つの基本権利とその書き方】

フリーランスが契約書で守るべき代表的な3つの権利は次のとおりです。

報酬を正当に受け取る権利
→ 報酬額、支払日、振込手数料の負担者を明記

納品物の権利を保持または管理する権利
→ 著作権の帰属、利用範囲、二次利用の有無を記載

業務内容と責任範囲を明確にする権利
→ 仕事内容、修正対応の範囲、納品形式などを明示

これらは、WordやGoogleドキュメントなどで簡易な契約書として作成することが可能です。重要なのは、相手に確認してもらい、両者の合意を文書に残すことです。

さらに、クラウドサインなどの電子契約サービスを活用すれば、対面や郵送なしでの契約も成立します。

【まとめ:契約書は自分を守る最前線】

フリーランスにとって契約書は、交渉の武器ではなく、自分の仕事と立場を守る「盾」です。

特に個人で活動する方にとって、トラブルが起きたときに頼れるのは“言葉”ではなく“書面”です。

リーリエ行政書士事務所では、フリーランス向けの契約書作成や文案チェック、著作権や報酬に関するトラブル対応を行っております。行政書士は法律知識に基づき、実務に即したアドバイスが可能です。

「契約書って必要なの?」「この内容で大丈夫か不安」といった疑問をお持ちの方は、まずはお気軽にご相談ください。契約書はあなたのビジネスを“守る力”になります。