マンスリーマンションが「汚すぎる」!貸主に責任は問えるのか?

マンスリーマンションに入居したら、部屋がカビだらけでとても住める状態じゃなかった…。そんな経験はありませんか?
実際、「清掃済み」と書かれていたのに、全く清掃が行き届いていなかったというケースは少なくありません。
この記事では、そんなトラブルにあったときに利用者としてどこまで貸主の責任を追及できるのか、法律の観点からわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 契約書に「貸主は責任を負わない」と書かれていても、損害賠償を請求できる場合がある
  • 責任を追及するために必要な証拠や準備とは?
  • 解決しない場合の対応手段(内容証明・保健所通報)

貸主に責任は問える?免責条項は無効になることも

マンスリーマンションの契約書にはよく、「貸主は責任を負わない」といった文言が入っています。
一見すると、「じゃあ文句言っても無駄なのか…」と思ってしまいそうですが、実はそうとは限りません。

法律ではどうなっている?

消費者契約法 第8条
「事業者の債務不履行について、すべての損害賠償責任を免除する条項は無効」

つまり、たとえ契約書に「一切責任を負わない」と書かれていても、清掃など本来貸主が果たすべき義務を怠っていた場合、その条項は無効になる可能性があります。

民法 第415条(債務不履行)

貸主は「清潔な状態で物件を引き渡す義務」があります。
カビだらけの部屋をそのまま引き渡したら、それは契約違反(債務不履行)です。
当然、損害が発生していれば、賠償を求めることができます。

よくある事例3選

事例1:カビによる健康被害

入居したら部屋がカビ臭く、咳やアレルギーが出るように。病院で診断書をもらい、診察費用や慰謝料を請求。
→ 証拠(写真・診断書)があれば、精神的苦痛への慰謝料も含め、賠償が認められる可能性あり。

事例2:再清掃しても改善されない

最初の状態がひどかったので清掃を依頼。貸主は清掃業者を手配したが、状況はほとんど変わらず。
結局、自費で別の宿を確保。
→ 実費として「代替宿泊費」全額の請求が認められた例も。

事例3:持ち物のカビ被害

カビ臭で衣服やカバンに匂いが染みつき、クリーニングでも取れなかった。
→ 実費相当の損害が発生していると判断され、補償対象に。

責任を追及するためにやるべきこと

① 契約書の確認

「清掃済み」「清潔な状態での引き渡し」が明記されているか
苦情対応のフローや再清掃の記載があるか
これらが書かれていれば、貸主の義務違反が主張しやすくなります。

② 証拠をしっかり残す

カビや汚れの写真・動画(できれば日時入り)
清掃依頼・やり取りの記録(メール・LINE・通話履歴)
健康被害の場合は診断書
代替宿泊の場合は領収書
証拠があるかどうかで、対応のされ方も大きく変わります。

内容証明郵便で正式に通知する

貸主にクレームを伝えても対応してもらえない場合、「内容証明郵便」で正式な通知を送りましょう。
内容証明とは、「誰が・いつ・どんな内容で送ったか」を郵便局が証明してくれる郵便のことです。

内容証明で伝える内容の例

  • 契約違反にあたると考えられる具体的な状況
  • 証拠があること(写真・診断書など)
  • 〇日以内に再清掃・返金など対応しない場合は法的措置も検討する旨

内容証明が届くと、貸主側も無視できなくなります。

それでも解決しないときは、保健所に連絡を

衛生状態が著しく悪い場合は、保健所に相談するという方法もあります。
「住宅宿泊事業法」に基づいて営業している場合、保健所から指導や改善命令が出る可能性があります。
とくにカビがひどく、健康被害が懸念されるレベルなら、立ち入り調査の対象になることも。

まとめ:泣き寝入りしないために、やるべきこと

マンスリーマンションで部屋の状態がひどい場合、
契約書に「責任を負わない」と書かれていても、その条項は無効になることがある
責任追及には、証拠(写真・記録・領収書など)をしっかり集める
内容証明での通知が効果的。それでもだめなら保健所に相談
という流れで、利用者として正当な主張ができることを覚えておいてください。
自分の健康や財産を守るためにも、泣き寝入りせず、冷静かつ適切に対応していきましょう。

リーリエ行政書士事務所では、マンスリーマンションにまつわるトラブルのご相談もお受けしております。
何かあった場合、お気軽にこちらよりご相談ください。