離婚に関する法的手続きをわかりやすく解説します!

はじめに

最近、離婚に関する相談が、少しずつですが増えております。

原因は男性側、女性側さまざまですが、いずれにしても離婚は細かに検討しなければならない項目が多く大変です。

すり合わせがうまくいかないと、あとから影響が出やすい問題も多々出てきます。

離婚にあたっては、今後の生活設計も含め、お金のことがとても重要になりますので、なかでも特に重要なポイントについて解説していきましょう。

離婚前に準備すべきこと

離婚前には、どうして離婚したいのか、具体的にしなければいけません。

ここから次の生活設計も見えてくるからです。

離婚には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚などの方法がありますが、明確な理由が必要になります。

協議離婚や調停離婚では、離婚の理由を問われません。

しかし、離婚ともなれば、相手が納得できる理由を示さなければ合意を得るのは難しいのは当然です。

いきなり離婚を繰り出されたとしても、理解してもらうのは不可能なのは理解できるでしょう。

裁判離婚の場合は、民法が定める5つの離婚理由のいずれかに当てはまらなければ、離婚が認められません。

明確な理由が問われますが、裁判を見据えるのであれば、裏付けとなる証拠も集めておく必要もあります。

離婚の理由がはっきりしない場合、決断を急がずにもう一度自分の気持ちを見つめ直してみるのも大切です。

本当に離婚すべきなのかを冷静に考えてみましょう。

離婚となれば、法的に検討すべき項目が多いため、専門家に相談するのも方法です。

離婚前の事前相談の段階であれば、費用もさほどかかりませんし、ほかの道筋も見てくるかもしれません。

お金と子どもに関する情報の整理

離婚の意思を固めたら、具体的な準備を始めます。

離婚の際に大きな問題になるのは、お金のことです。

どの様な形になるにせよ、お金が必要になることは必定ですし、離婚の手続きにかかる費用も用意しなければいけません。

お金の問題を解決する第一歩は、共有財産の把握です。

結婚後に夫婦が協力して築き上げた財産を共有財産と呼び、夫妻どちらかの名義であってもかまいません。

結婚後に夫婦が協力して取得した財産ということで、基本的に二分の一にできるからです。

この財産分与の話し合いに備えて、共有財産をリストアップしていきます。

財産には、現金、預貯金、有価証券、不動産、自動車、生命保険、退職金などのプラスの財産が基本です。

住宅ローン、借金などのマイナスの財産に関しても共有財産になるため、リストアップしないといけません。

どちらも財産分与の計算では重要になるため、両方をきちんと把握する必要があります。

預貯金なら通帳、生命保険なら保険証書等で確認するといいでしょう。

不動産や自動車のように、金額がはっきりしないものは、現在の評価額を計算します。

相手の所得や財産は、離婚を考え始めたら、すぐに確認しなければいけません。

離婚を切り出した後では、確認するのが困難になる場合が多々あるからです。

特に相手名義の財産を把握するのは、とても難しくなります。

共有財産として、折版されることがわかっていれば、教えたくなくなるのは道理です。

さらに離婚したくない場合には、財産の開示も拒む可能性が出てきます。

だからこそ、できるだけ早い段階で把握しなければいけません。

未成年の子どもがいて、親権を取りたい場合は、子どもの生活環境の準備も必要です。

養育費や子どもの預け先に合わせ、進学先について調べておきます。

離婚後の生活に向けて、準備を始めることも大切で、安定した生活を送れるよう、離婚後の家計をシミュレーションしたり仕事や住まいを探したりしないといけません。

できるだけ細かに調べておくことで、新たな生活で困ることが少なくなりますので、離婚後の生活設計を立てておきましょう。

親権は離婚の協議で必ず出てくる大きな問題です。

未成年の子どもがいる夫婦は、どちらが親権者になるのかを決めなければ、離婚できません。

記入欄が空白では、離婚届は受理されないからです。

離婚したときに親権者になりたいのであれば、子どもと離れて暮らさないことが大事な条件になってきます。

夫婦間で協議が調わない場合、家庭裁判所で親権を争いますが、離婚後も子どもの生活環境が変わらないことが重視されるからです。

そのため、今と同じ環境で生活するだけでなく、別のところに引っ越したとしても、子どもと同居している親が優先される傾向にあります。

相手が家を出るときにも、親権を取るのであれば、子どもを渡さないことが大切です。

いったん子どもと離れると、再び引き取るのは容易ではありません。

親権争いでも、確実に不利になるのです。

離婚方法別の手続き費用

離婚するのであれば、両者で速やかに合意できるかで費用は大きく変わってきます。

弊所としては、訴訟手続を経ず、両者での合意を推奨してきました。

弊所の場合、ご相談いただいた内容のうち、約90%は離婚協議書または離婚公正証書を作成して話がまとまっております。

結婚して日が浅く、子どももいない家庭では、法的論点も多くありません。

離婚協議書作成で十分な場合なケースも多く、費用感は3万円から10万円程度が相場です。

子どもがいて法的論点も多い場合は、公正証書作成することをお勧めします。

費用は5万円から15万円程度になりますが、なによりも確実です。

離婚協議書を自身で調べながら作成し、「これで問題がないですか」と内容確認いただくご依頼もありますが、修正を入れずに済んだことは、これまでに一度もありません。

簡潔にまとめますが、必要なこともしっかりと盛り込まねばいけないからです。

作成を専門家に依頼すると費用はかかりますが、内容の漏れや法律的な不備を回避できるのは大きなメリットになります。

離婚では、多かれ少なかれ財産の取り決めが発生するものです。

そのときに大きな見落としをして不利になることもあります。

相談費用を惜しんだ結果、法的論点を見逃して相手から突かれるといったことも起きるからです。

法律に関係する内容といえば、専門家の知識が役立つのは間違いありません。

ここで費用を惜しむのは得策ではなく、あとから後悔しても、そのときには遅いのです。

自身で裁判所等での手続をしたい場合は、わずか印紙額で申立てができます。

離婚の条件がまとまらず争う場合、少しでも有利な条件で終わらせたいなら、代理人になれる弁護士に依頼することになるでしょう。

弁護士に依頼した場合の目安額は、交渉等で収まるか、訴訟手続に発展するかで違います。

どの弁護士に依頼するかにもよりますが、数十万円から百万円を超えることを覚悟しなければなりません。

さらに費用をかけた結果、必ずしも有利な条件で離婚できるとも限らないのです。

事前に細かな部分まで相談を行い、ご自身が望む結果になるかを良く検討しなければいけません。

それだけの費用を支払い、うまくいきませんでしたでは済まないからです。

まとめ

本コラムでは、離婚を考えた際に準備する必要がある事項について、まとめさせていただきました。

離婚の理由を明確にし、夫婦間の財産を把握し、離婚後の生活をシミュレーションしてください。

離婚の方法はいくつかあり、それによって、手続き費用は数千円から百万円超までと大きく異なります。

協議離婚の場合、円滑に協議内容がまとまれば、時間もお金もあまりかかりません。

夫婦で話し合った内容を公正証書にまとめることも必要で、作業は専門家に依頼されることをお勧めします。

夫婦間で話がまとまらない場合、調停や裁判の申立てになりますが、通常は弁護士に依頼して手続きを進めることが多いのが実態です。

手続きの費用だけならば数万円程度で済みますが、実際にはそうはいきません。

有利な条件で離婚したいのなら、早い段階で法律の専門家に相談することが重要です。

専門家に相談するのは、訴訟手続だからではありません。

どのような条件を協議に持ち込めば相手も応じてくれるか、自身のケースでは、どのような方法で進めるのが妥当なのかを的確に助言するのが専門家の立場です。

離婚協議がある程度進んでから専門家を探すと、時間的にも心理的にも余裕がなくなります。

打てる手段も少なくなりますし、切羽詰まって最善ではない選択をするかもしれません。

離婚に関することは、余裕があるタイミングで、ご自身に合った専門家を探されることをお勧めします。