契約解除通知を内容証明で送る際の注意点

契約関係の終了を正式に伝える際、多くの場合、内容証明郵便が用いられます。しかし、この重要な手続きには細心の注意が必要です。
本記事では、契約解除通知を内容証明で送る際の注意点を解説します。これらのポイントを押さえることで、効力のある通知を確実に行い、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。

契約解除通知とは?内容証明郵便を使う理由

契約解除通知は、契約当事者の一方が相手方に対して、契約関係を終了させる意思を明確に表明する文書です。この重要な通知を内容証明郵便で送付する理由は多岐にわたります。

  • 発送の事実と内容を公的に証明できる:内容証明郵便は、郵便局が文書の内容と発送日時を証明するため、後日の紛争時に強力な証拠となります。
  • 相手方への到達を確実に証明できる:配達証明を付けることで、相手方が受け取ったこと(または受け取りを拒否したこと)を証明できます。
  • 法的紛争時の有力な証拠となる:裁判所は内容証明郵便を高い証拠能力を持つものとして扱います。
  • 相手方に対する警告効果:内容証明郵便を受け取ることで、相手方は事態の重大さを認識し、適切な対応を取る可能性が高まります。

内容証明郵便で契約解除通知を送る前の綿密な準備

通知を送付する前に、以下の準備を徹底的に行うことが極めて重要です。

  • 契約書の内容を再確認する:契約書全体を精査し、解除条項、解除後の義務、違約金条項などを確認します。
  • 解除の理由や根拠となる条項を明確にする:契約書に基づいた客観的な理由を明確にします。
  • 解除に伴う義務(損害賠償など)を確認する:解除によって生じる自身の義務や相手方の権利を把握し、対応を準備します。
  • 証拠の収集と整理:相手方の債務不履行や契約違反を示す証拠を収集し、時系列で整理します。
  • 必要に応じて専門家(弁護士や行政書士)に相談する:特に重要な契約や高額な案件の場合、専門家のアドバイスを受けることで、法的リスクを最小限に抑えられます。

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契約解除通知の正しい書き方:必要な情報と効果的な文例

契約解除通知には以下の情報を明確かつ簡潔に記載する必要があります。

  • 宛先(相手方の正式名称・住所)
  • 差出人の情報(氏名、住所、連絡先)
  • 解除する契約の特定(契約日、契約名、契約番号など)
  • 明確な解除の意思表示
  • 具体的な解除の理由(契約条項の引用を含む)
  • 解除の効力発生日
  • 解除後の手続き(残務の処理、物品の返還など)

効果的な文例:

○○株式会社
代表取締役 ○○ ○○ 様

△△株式会社
代表取締役 △△ △△

契約解除通知書

拝啓 貴社ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。

さて、当社と貴社との間で××年××月××日付けで締結いたしました○○契約(以下「本契約」といいます)について、下記の理由により、本契約第○条に基づき解除いたします。

1. 解除の理由
貴社は、本契約第○条に定める納品期限を○回にわたり徒過し、当社からの度重なる催告にもかかわらず、現在に至るまで債務の本旨に従った履行がなされておりません。

2. 解除の効力発生日
本通知が貴社に到達した日の翌日

3. 解除後の手続き
(1) 貴社は、本契約に基づき当社から受領した○○を、本通知到達後14日以内に当社に返還してください。
(2) 当社は、本契約解除に伴う損害賠償請求権を留保いたします。

以上、よろしくお取り計らいのほど、お願い申し上げます。

敬具

 
この文例は基本的な構成を示していますが、具体的な状況に応じて内容を調整することが重要です。

内容証明郵便の作成と発送手順:郵便局での注意点

内容証明郵便の作成と発送には以下の手順が必要です。

  1. 文書を3通作成(正本、副本、控え)
  2. 郵便局で専用の用紙に清書
  3. 封筒に入れて郵便局に提出
  4. 郵便局員による内容確認
  5. 料金支払いと発送

注意点

  • 文字の訂正は原則認められないため、清書する際は細心の注意を払う
  • 郵便局によっては予約が必要な場合があるため、事前に確認する

契約解除通知後の対応:相手からの返答と注意点

通知を送付した後は、以下の点に細心の注意を払う必要があります。

  • 相手方からの返答を待つ(通常1〜2週間程度)
  • 返答がない場合の対応策を準備(電話や訪問による確認、法的手続きの検討)
  • 解除が認められない場合の対応策(交渉、調停、訴訟など)
  • 解除後の義務の履行(損害賠償、原状回復など)

契約解除通知が有効に到達すれば、原則としてその時点で契約は終了します。ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 解除の有効性について争いが生じる可能性
  • 解除後の義務(秘密保持義務など)が継続する場合がある
  • 相手方から反論や損害賠償請求がなされる可能性

これらの可能性を考慮し、証拠の保全や専門家への継続的な相談を行うことが賢明です​。

まとめ

契約解除通知を内容証明郵便で送ることは、単なる事務手続きではなく、法的に重要な意味を持つ行為です。本記事で紹介した5つの注意点を十分に理解し、適切に実行することで、確実かつ効果的な契約解除を行うことができます。
適切な契約解除通知は、ビジネスのリスク管理において非常に重要です。慎重に行うことで将来のトラブルを防ぎ、自社の権利をしっかりと主張できます。
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