現役行政書士が詳しく解説!行政書士の業務内容

はじめに

筆者は、もともと薬剤師でした。

長年勤務した後、2022年に行政書士登録をしてから、ビザ申請や道路関係に関する許認可を主とし、得意分野にしております。

行政書士は、個人又は法人から依頼を受けるのが基本です。

会社設立や店舗開業など、許認可に関する公的書類の作成や官公署への申請を代行するのが基本で、携われる業務の種類はなんと1万種類以上あるといわれています。

同じ法律関係の資格である弁護士と行政書士を比べると、もっと身近な存在といわれてきました。

私たちの暮らしを考えた時に、弁護士さんの存在ってかなり特別ですよね。

ですが、行政書士はもっと身近な存在で、「街の法律家」と呼ばれることもあります。

行政書士だけではありません。

同じように仕業と呼ばれる司法書士、弁護士の仕事は、日常的に知られていないでしょう。

どのような業務を受け持っているのか、あまり理解されていないのが実情です。

そこで簡単にまとめると以下のような感じになります。

弁護士 紛争時対応をはじめとする法律事務全般と代理人業務
司法書士 主に不動産や法人などの登記に関する業務
行政書士 行政庁に申請する手続の全般

理論上、弁護士は、司法書士や行政書士など法律関係士業のすべてを受任できます。

ですが、実務上で見れば、弁護士が行政手続や登記の手続を行うのは非常に稀です。

弁護士は、資格取得の過程が、刑事弁護や訴訟手続を前提としていることが背景にあるでしょう。

行政法規に関する知識や登記実務に関する手続などの学習は非常に限定されているのも、これらの業務を請けない理由にもなってきます。

もちろんできないわけではありませんし、やられるケースもゼロではありませんが、実務的には専門とはしていないと思って間違いありません。

弁護士が受任した業務の中で、登記手続や行政手続が発生した場合には、普段から関係がある専門有資格者に依頼するのが一般的です。

そのほうが早く解決できますし、自分の業務にも集中できます。

前置きが少し長くなりましたが、行政書士の仕事を大きく3つに分けてご紹介していきましょう。

行政書士の日常の仕事とは?

行政書士の業務は、大きく分けると以下の通りです。

  1. 書類作成業務
  2. 許認可申請の代理業務
  3. 相談業務

この3つが、行政書士が日常的に行う主な業務です。

それぞれ別々に見ていきましょう。

行政書士の仕事1 書類作成業務

行政書士は、役所に提出する許認可などの書類を作成する専門家です。

「書類作成業務」は、行政書士法に定められた独占業務とされています。

例えば、あなたが新しく飲食店を開業しようとするとしましょう。

保健所に申請をして「営業許可」を取得しなければいけません。

ですが、申請って何をするんだろうと思いませんか?

営業許可の取得にあたっては、申請者の氏名・住所、店舗の所在地、名称、食品衛生責任者の氏名などを記入する「営業許可申請書」が必要です。

さらに調理台、客席、トイレ、従業員の更衣室等、店舗に配置するすべての設備を大きさに至るまで細かく記載した図面、水質検査成績書等の数多くの添付書類を提出する必要があります。

これだけでもどうしたらいいかわからなくなりますよね。

提出した書類は、保健所の審査担当者による入念な審査が行われ、許可基準に合致しているか確認されます。

健康に関することですので、非常に細かな部分が出てくるのです。

このとき、いわゆるゴールになるのが許可基準です。

許可基準を知らないと、書類を作成しても何度も書き直しを求められることになるでしょう。

何をどうすればいいかわからないからで、なかなか許可が得られません。

同じ内容でも行政庁が求める書き方に沿っていないと、審査は円滑に行われませんし、不備として指摘されることもあるのです。

行政書士は、このような許可基準を熟知し、許可が得られやすい書類の書き方の専門家といえます。

審査担当者がスムーズに決裁を進められる申請書を、みなさまに代わって作成するのが大事な仕事です。

行政書士の仕事2 「許認可申請の代理業務」

多くの役所は、朝8時30分から夕方17時15分までが開庁時間です。

仕事の都合等で、開庁時間に訪れることが難しい方もいらっしゃるでしょう。

許認可に関して行われる検査や弁明の機会の付与手続き、その他の意見陳述のための手続きは、慣れていない方には何を話していいのか分からないかもしれません。

行政書士は依頼者の代理で、許認可申請の書類を役所に提出します。

担当者からヒアリングを受けることも職務領域になる専門家です。

特に許認可にあたって不利益な可能性のある質問が出たとき、言葉を選び、実情と許可基準に沿った回答をします。

審査を円滑に通過できるようお手伝いするのが、行政書士の大事な仕事になるのです。

行政書士の仕事3 「相談業務」

行政書士はさまざまな書類の作成や手続きの代行ができますが、これらの業務に関する相談も重要な業務です。

みなさまのお困りごとを伺いながら、必要な書類の作成や代行業務など、ニーズを汲み取ることも仕事につながります。

場合によっては、開業相談や企業法務などのアドバイザーやコンサルタント的業務を受け持つケースもあるほどです。

行政書士は、法律の知識や過去の経験、裁判判例といった情報を精査・駆使して、どうすれば許認可が下りるか、問題が解決するのかを検討します。

粘り強く、依頼者に親身になって相談に応じるのも行政書士という立場といえるでしょう。

行政書士に相談する場合の留意点

行政書士は、先述の通り、業務範囲が驚くほど広い特徴を持っています。

そのため、みなさまが相談したい内容に、必ずしも対応できるとは限りません。

医者に例えてみることがよくありますが、耳鼻科、外科、泌尿器科とさまざまな分野が分かれていますよね?

内科もあれば整形外科もあるわけです。

同じ医者ですが、それぞれ得意としている分野が違います。

行政書士も、許認可だけでも細かく分かれているため、対応できるかは事務所によってさまざまです。

相談しようとしている内容が得意なのか、専門といえるのか判断する必要があります。

どんなことでも対応できるとは限りませんので、事前に確認いただくことが大切です。

まとめ

本記事では、以下の内容についてお伝えいたしました。

  1. 法律の専門家といっても、資格によって得意な業務分野や専門とする領域が異なる
  2. 行政書士は、許認可申請業務を中心にしているが、業務範囲を見ると1万種類以上あると言われている
  3. 相談の内容によっては、専門家として対応できないこともあることから、事前に確認と相談が大切

今回のコラムでは、行政書士の仕事について、簡単ですがご紹介しました。

行政書士の業務範囲は非常に広く、その内容も多岐にわたっています。

日常生活や許認可のことでお困りの場合は、ぜひ行政書士に相談してみてください。

身近な法律家として、できる限り対応いたします。