協議離婚のメリット・デメリットを行政書士がわかりやすくお伝えします!

国立社会保障・人口問題研究所によると、2021年に発生した離婚184,384件のうち、協議離婚は159,241件(86.4%)と、大半を占めています。

一方で離婚の最終手段である裁判離婚によるものは、1,944件(1.1%)とごくわずかでした。

今回のコラムでは、この国内で最も多い「協議離婚」について詳しくご紹介していきます。

協議離婚に関する民法の規定

前回のコラムでもご紹介しましたが、民法第763条には「夫婦は、その協議で、離婚をすることができる」とあります。

ただし、これには続きがあり、第765条第1項に「離婚の届出は、その離婚が前条において準用する第739条第2項の規定及び第819条第1項の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない」とされているのです。

ここで問題になるのが、第739条第2項の規定になります。

「当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない」

離婚に際しては原則として離婚届を提出すること、離婚届には本人の署名と証人2名の署名が必要であるということを定めているのです。

第819条第1項の規定とは「父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。」とあり、親権者を定めた後でなければ離婚できないと定めています。

続いて、第766条には、離婚後の子の監護に関する事項の定め等についての規定が書かれています。

こちらについては、親権という細かな内容が出てきますので、次回のコラムで詳しくご紹介しましょう。

さらに第767条には、離婚後の姓(氏)について定めがあります。

原則として、離婚後には離婚前の姓に戻ること、例外として離婚後3か月以内の届出で結婚時の姓を名乗れるとしているのです。

つまり、必ず復氏しなければいけないわけではありません。

子供との生活を考えるときなど、復氏しないことで都合がいいことも出てきます。

生活環境なども踏まえて、どちらにするか検討した方がいいでしょう。

時間的には3か月あるからです。

復氏に関連して769条では離婚による復氏の際の祭祀財産、つまり「系譜(家系図)」「祭具(仏壇)」「墳墓(お墓)」についても定められています。

婚姻によって氏を改めた者が、祭祀財産を承継した後に離婚した場合、当事者その他利害関係人の協議により、祭祀財産の承継人を定めなければなりません。

もしも、協議が不調のときは、家庭裁判所が定めるとされています。

実際に離婚すると、お墓の問題などが出てくるものです。

意外と知られていませんが、仏壇を含めて問題になるのを想定して、法律が定められています。

内容的には、親族で協議してくださいとしていますが、ダメなときは家庭裁判所が決めるわけです。

さらに第768条で財産分与についての規定がありますが、こちらについてもかなり入り組んだ内容になるため、詳しくは次回以降のコラムで詳しくご紹介します。

協議離婚のメリット・デメリット

協議離婚の最大のメリットは、早期解決と離婚費用を抑えられることです。

自分達で話し合えばいいだけなので、誰かに仲裁を依頼する必要もありません。

時間も場所も自分たちで決められることは、大きなメリットです。

離婚条件や子供の親権についても合意が成立すれれば、思い立った日に離婚届を提出もできます。

実際問題としては、思い立ったから離婚届けを提出するという短絡的なことは、好ましくはありませんが、実務上は成立するのです。

話合いですので、離婚条件の乖離が大きく、どちらか一方が離婚を拒否していると成立しません。

当然ですが、協議離婚は困難となり、調停や裁判に至ることがあります。

当初、相手が離婚を拒否していたとしても、あとから変わる場合も少なくありません。

配偶者の不貞行為など法定離婚事由に該当する証拠が得られているときは、相手に離婚を説得する材料となり、裁判に至らずとも協議離婚が成立するケースもあるからです。

人間同士の話し合いですので、こうしたことが後からでも起こります。

離婚の相談先

離婚の相談をされる際、行政書士と弁護士どちらに相談しようか迷われる方もいらっしゃると思います。

その際の最も分かりやすい基準は、当事者間で話し合いの度合いです。

お互いで争いはなく、円満離婚で今後のために書類を作成したい(協議離婚)ならば、行政書士に依頼することをおススメします。

弁護士に比べ、費用が圧倒的に安く済むからです。

その分の費用は、お互いが次のステージに進むための資金にすることもできるでしょう。

実際に離婚するということは、さまざまな費用がかかってくるからです。

一方で話し合いがつかない(調停離婚~裁判離婚)場合、弁護士に依頼する必要があります。

数十万円の費用がかかりますが、訴訟や交渉に際して代理人となるためには、弁護士などの有資格者でなければいけないからです。

まとめ

今回のコラムでは、協議離婚についてご紹介しました。

なお、協議離婚では「離婚協議書」の作成は必須とされていません。

ですが、離婚後のトラブルを未然に防ぐために、話し合いや合意した内容を書面に残しておくことをおススメします。

東京深川行政書士事務所では、離婚届に加え、離婚協議書作成のサポートを行っておりますので、お気軽にご相談ください。