法律の専門家(弁護士・司法書士・行政書士)に相談する場合に気をつけるべきことについてお伝えいたします!

はじめに

みなさんは、普通の生活の中で、弁護士や司法書士、行政書士といった法律の専門家と接する機会はあまりないかもしれません。

中にはできれば関わりたくないと思われる方もいるでしょう。

多くの人にとって、法律の専門家と接する機会は突然です。

機会を予期している人はほとんどいません。

例えば、相続の発生、犯罪の影響、男女や金銭トラブルなど、あらかじめ予想できることは少ないはずです。

もちろん、相続などに備えることは大切ですが、ほかのものは突然やってきて大きな影響を与えていきます。

もしものときを考えれば、気軽に相談できる専門家は、ひとりは知っておく方がいいでしょう。

なによりも、ここぞというときに安心できるからです。

本コラムでは、専門家に相談する際のコツやマナーについて、専門家という立場から少しお話しさせていただきます。

相談できる専門家を探す

弊所の場合、いわゆる地域の「かかりつけの専門家」という側面を持ちます。

ですが、何かひとつに特化しているのではなく、複数専門分野を得意としてきました。

日本全国だけではなく、他国からもご依頼をいただくこともあります。

実際問題としてみると、法律の専門家と接点を持つのは、困り事が起きたときかもしれません。

ですが、お住まいの地域には、法律事務所や司法書士事務所、行政書士事務所がいくつかあるでしょう。

そのうちのいくつかは、場所と名前、どんなことをしているかを把握しておく、いざというときに便利です。

病院でいうところの、「内科」や「小児科」のように、得意分野に違いがあります。

でも、看板は「○○医院」でわからないことがあるはずです。

このままじゃわからないので、何が得意なのかHPなどを覗いてもらえるといいと思います。

弊所の場合、普通に生活していて発生する法的問題を中心に、中小企業のサポートを得意としてきました。

全国から特定分野の許認可申請の依頼や、補助金の申請等の依頼をいただくことが多いです。

依頼するときには何を準備すれば良いか?

専門家に依頼する際には、どのような準備をしておくと良いでしょうか。

筆者としては、相談したい内容を事前に200字から400字程度がまとまっているメモが1つあるだけで、非常にありがたいと思っております。

これは、事案の概要が見えてくるからです。

事前に事案の概要がわかれば、相談者から聞くべき内容が定まります。

それも読むだけである程度理解できて、頭の中でまとめられるのですから、メモはとてもありがたい資料となるわけです。

そこで重要なのが、「誰が、誰に対して、何をしたいのか」という内容になってきます。

このポイントを端的にまとめるだけで、メモとしての精度が全然違います。

具体的には、

  • 私は、不倫相手に対して、慰謝料を求めたい
  • 私は、知人に対して、貸した300万円の返還を求めたい

といった具合です。

「何がしたいのか」がわかれば、主張が見えてくるでしょう。

そうなると、どんな展開をすればいいかが浮かんでくるからです。

ところが、何したいかがわからないと、どんな行動をすべきか出てきません。

見えてこない状態で相談されても、内容整理に時間がかかるのです。

当事者が複数いる場合は、各当事者の相関関係がわかるように、まとまっている資料があるとスムーズです。

自分がわかるかもしれませんが、ほかの人は誰が誰だかわかりません。

実はこの整理にとても時間がかかるからです。

長くなりすぎない

事案の内容をまとめる場合は、簡潔にまとめることが重要です。

そこでポイントになるのが、時系列にあります。

  1. 2023年1月12日 Aは、Bに対して、300万円を貸す約束をした
  2. 翌日、Bに対して、金銭を口座に振込み貸した
  3. 2024年1月以降、返還するようメールにて催告したが返信がない

このような感じです。

個人的な感情は書かないようにして、時系列で事実をだけを記載することが重要です。

相談時のマナー

筆者は、年間数百件の相談対応をさせていただいています。

相談に来られる方の印象は、常にさまざまです。

「この方の力になってあげたい」と思うこともあれば、「この方のご依頼は極力受けたくないな」と思うこともあります。

専門家も人の子ですから、心象は非常に大事です。

印象によってその後の行動にも影響を与えます。

専門家が特に嫌がるタイプは、短期間でさまざまな事務所を渡り歩きわたる人です。

さまざまな専門家から意見を求めること自体は悪くありません。

同じ事案でも、専門家によって見解や対応方針が異なるからです。

角度を変えて検討することは重要なのはわかります。

しかし、複数専門家から必要以上に情報を集めると、結局どのように処理するのが妥当なのか見失いがちです。

「A弁護士はこういった」

「B司法書士からはこんな提案を受けた」

そんなことをお話しくださる方もいるのです。

ですが、対応する専門家の心象を考えてみてください。

比較検討するのは当然です。

しかし、それを言葉に出してしまっては、心象が悪くなるのです。

専門家もプロですので、5分もお話すれば、「この方はいろいろとまわられている」とわかります。

だからこそ、過去の相談対応者の見解を安易に展開されても困るのです。

専門領域の違いでアプローチも変わってきます。

目指す方向は同じでも、違いが出てくるからです。

事案が複雑な場合、複数の専門家の意見を聞くとしても、それは口に出さず比較検討すべきでしょう。

口に出した時点で、専門家にも一定のバイアスがかかり、公平に比較できなくなるからです。

こうなると、誰にもメリットはありません。

丁寧に対応してもらったら

法律の専門家は、熱心な人が多く、30分程度の相談であれば、相談料を受け取らない先生も多いです。

丁寧に相談に対応してもらった場合は、しっかりと感謝の気持ちを伝えると、次回困ったときも、丁寧に対応してもらえるはずです。

まとめ

専門家に相談する場合は、事案の概要を簡潔にまとめたメモがあるとよい

まずは、「誰に対して、何をしたいのか」をはっきりさせる。短くシンプルにまとめる方が、双方にとって有意義な相談になる

セカンドオピニオンも大事だが、やりすぎるとかえって解決から遠のき、専門家からの心象も悪くなりやすい

何か困ったときに、頼れるような関係を作るのが望ましいでしょう。