退職しようとしたら損害賠償請求された!?支払わないといけないのか?行政書士がお伝えします!
会社に辞めたいと伝えたら、損害賠償をほのめかされるケースがあります。
こうなると一人ではどうにもならない。
悲しいことではありますが、よくある相談内容のひとつです。
だいたいの背景は、かつて失敗した事例を持ち出してきます。
「辞めるなら損害賠償請求だ」
「昔のミスの損失補填をしろ」
と脅すのが基本線です。
辞めてほしくないが故の引き止めかもしれません。
単なる脅しだったとしても、そんなことが通用する時代ではないのです。
ですが、恐怖心が生まれてくるのも間違いないでしょう。
「脅しを無視して辞めたら損害賠償請求を受けるかもしれない」
そう感じたら辞められないかもしれないのです。
気持ちが折れる瞬間にもなるでしょう。
こうなれば、普通の人はお手上げです。
もう対応できる範囲を超えます。
実際問題として、本当に脅しではなく、退職の際に会社側が損害賠償請求するケースもあるからです。
ほんのわずかではありますが、冗談にはならないでしょう。
経験上、弁護士を立てて損害賠償請求してきたケースもあります。
割合的にいえば、100件に1~2ぐらいですが、そこまでしてくる場合もあるのです。
ただし、訴訟まで発展はせず、示談という形で終わります。
なぜ示談で終わると思いますか?
それは弁護士側でも、訴訟にすると勝ち目がない、または費用的な負担の意味がなくなるからです。
企業側はなんとか引き留めるか損害賠償をと思っていても、弁護士は難しいことを理解しているといえます。
実際に依頼者に対して、損害賠償請求をされないアドバイスもしています。
そもそも労働者が退職するのは自由です。
何も制限される必要性はありませんし、保護されています。
ですから、原則は辞めたことで迷惑を生じ、会社側が損害賠償請求するのは難しいのです。
ですが、依頼された弁護士もそれでは仕事になりません。
依頼者の利益を最大化するために、存在しているからです。
そこで「在職中のミスを理由に損害賠償請求」という賭けに出ます。
それでも、基本的に請求は難しいことがわかっています。
従業員は人間です。
ミスをすることは当然あるだけでなく、会社は従業員を働かせて利益を上げています。
多少のミスで損害が出ていたとしても、それは利益を得る活動の中でのリスクということで、甘受すべきなのが基本です。
もちろんですが、こんなことを業員に転嫁するのは許されません。
法律上、報償責任の原則といいます。
会社側から従業員への損害賠償請求は、かなり難しい問題です。
あえて弁護士まで立てて損害賠償請求してくるのは、社長のメンツやプライド、他の社員への見せしめなど、辞める人には全く関係のないことばかりが出てきます。
見方を変えれば、会社が損害賠償請求をするのは自由です。
会社側が損害賠償請求するとしても、事前に差し止めることも難しいといえます。
そこまでわかって弁護士は手を打ってくるのです。
従業員側で見ると、粛々と受けて立つしかありません。
従業員側にも弁護士がついていれば、法律や判例に照らして判断できます。
会社側の損害賠償請求がどれほどの脅威・確度なのかによって、ある程度の見通しが立つでしょう。
依頼者があまりにも無茶な請求を受けた場合には逆手をとることも出てきます。
訴訟に持ち込めば、勝てる見込みが高い場合には打って出る方法もあるのです。
ですが、退職代行を使う方は、辞められることが前提です。
早いところ退職できればいいため、お互い納得できるところを探り、示談となることも多いといえます。