日本人は会社がなかなか会社を辞められない背景を行政書士がお伝えします!
ブラック企業という言葉も定着してきた感があります。
もともとは2001年ごろの巨大掲示板で生まれた言葉だそうですが、もう一般的に使われるようになりました。
深刻な人手不足を背景にしたケースが多く、従業員を限界まで酷使するような場合には、ブラック企業と呼ばれるでしょう。
そんな状況に耐えきれず、退職を申し出た従業員を強引に引き止めるような企業も増えてきました。
自然発生的に使われるようになった言葉なので、「ブラック企業」について公的に定義はされていません。
ですが、すでに辞書にまで掲載されるようになりました。
次のような文言が記載されています。
労働条件や就業環境が劣悪で、従業員に過重な負担を強いる企業や法人。長時間労働や過剰なノルマの常態化、セクハラやパワハラの放置、法令に抵触する営業行為の強要といった反社会的な実態がある。――「デジタル大辞泉」(小学館)
ここで重要なのは、反社会的な実態という言葉かもしれません。
どんな企業も事情があり、これまで教育に費用を費やしてきた人に辞めてほしいとは思わないでしょう。
企業側も環境が劣悪とまではいっていないと認識していても、ブラックと評価されるかもしれません。
ですが、反面として、本当に劣悪な中で過度な不安を敷いているケースがあります。
法令に抵触するような状態でも、平気で共用するようなことが多発しているのも実情です。
このような中には、反社会的な実態を持った企業もたくさん出てきました。
そのような企業はブラックと呼ばれても当然でしょう。
高齢化が進むにつれて、企業では人手不足が深刻になってきています。
特に昔であれば3Kと呼ばれた、きつい・きたない・給料が安いといった企業は人材不足がさらに加速してきているのです。
職場環境が悪化していくと、会社と従業員の間の信頼関係が失われます。
従業員側に「どんな手を使ってもよいから、この職場から逃げ出したい」という思いが生まれるのです。
しかし、ただでさえ人手が足りない状況となれば、突然の退職者に対応できません。
引継ぎや人員の補充も間に合わないのです。
退職の申入れに対しても、そうやすやすと辞めさせるわけにはいかない事情も生まれます。
そこで強引な引き止めが生じることがよくあるのです。
このような社会的な問題も、辞めたくても辞められなくなってしまう状況を作っているといえるでしょう。
では、なぜ日本人早められないのかという問題です。
日本の社会背景として、終身雇用の考え方がありました。
一度勤め始めた会社を最後まで務めるという考え方です。
転職することに対して否定的な社会がありました。
実際に転職すると、雇用年数が0に戻るため、給料が下がる。
評価が下がるということがあったのです。
この背景には能力評価がありませんでした。
自分の能力いかんによって評価されるシステムは、二の次だったのです。
このような終身雇用の背景は、簡単に辞めることができない、辞めさせるべきではないという企業姿勢につながっていたことも否めません。
辞められない日本人。
すべてが悪いわけではありません。
企業側にも言い分があり、なんでもブラックと評価されるわけではありませんが、自分に合った仕事を探せる社会のシステムも必要だといえるでしょう。