遺言書の種類と効力について、行政書士がわかりやすくお伝えします!

遺言とは?

遺言とは、個人が自らの死後に財産の分配やその他の意志を明示するための法的文書です。
遺言書は、自分の遺産をどのように処分するか、誰に何を譲るかを明確にすることで、相続人間の紛争を未然に防ぎ、円滑な相続手続きを実現する重要な役割を果たします。

遺言書がない場合、亡くなった人の遺産は民法で定められた法定相続人が相続するのが原則のため、遺言書を作成することは自身の意志を尊重するためにも非常に重要です。

遺言書の種類

遺言書には主に3つの種類があります。それぞれの遺言書は異なる作成方法と効力を持ち、状況に応じて最適なものを選ぶことが重要です。今回は普通方式遺言と呼ばれるものを紹介していきます。特別方式遺言というものもありますが、作成できる場面が限られるため、今回は省略いたします。

「自筆証書遺言」

自筆証書遺言とは、遺言者本人が遺言書の全文、遺言書の作成日付および遺言者氏名を自書し、押印して作成する遺言書です。 遺産目録は、遺産目録が記載されたすべてのページに署名押印することを条件に、パソコンの利用や、通帳のコピーなどの資料・不動産(土地・建物)の登記事項証明書の添付が認められています。

  1. 全文を自書すること:遺言者自身が遺言書の全文を手書きで書かなければなりません。
  2. 日付を明記すること:遺言書が作成された日付を明確に記載します。
  3. 署名を行うこと:遺言者自身の署名を必ず行います。

自筆証書遺言は作成が容易で費用がかからないという利点があります。さらに、書き直しなどもできるため、とにかく早く作成したいという場合は自筆証書遺言による方がいいでしょう。また、遺言書の保管場所を慎重に選ぶ必要があり、紛失や改ざんの危険性も考慮しなければなりません。

「公正証書遺言」

公正証書遺言は、公証人が関与して作成される遺言書です。これは最も信頼性が高く、法的効力も強いため、広く利用されています。

  1. 公証人の前で遺言内容を口述する:遺言者が公証人の前で自らの遺言内容を口述します。
  2. 公証人が遺言書を作成する:公証人が遺言者の口述を基に遺言書を作成します。
  3. 証人の立会い:2名以上の証人が立ち会い、公証人と共に遺言書に署名します。

公正証書遺言は、公証人が関与するため、内容の信頼性が高く、遺言の有効性が争われにくいという利点があります。また、遺言書は公証人役場で保管されるため、紛失や改ざんのリスクも低減されます。

「秘密証書遺言」

秘密証書遺言は、遺言の内容を秘密にしたい場合に適した遺言書です。担当する公証人が遺言の内容を確認しません。
そのため、誰にも遺言内容を知られたくない場合に非常に有効な方法です。

  1. 遺言者が遺言書を作成する:遺言者自身が遺言書を作成し、署名します。
  2. 遺言書を封印する:遺言書を封筒に入れて封印します。
  3. 公証人と証人の前で提出する:遺言者が封印された遺言書を公証人と2名以上の証人の前で提出し、署名します。

秘密証書遺言は、内容を他人に知られたくない場合に適していますが、作成手続きが厳格であり、要件を満たさない場合には無効となるリスクがあります。

遺言書の効力

遺言書は、遺言者の死後に初めて効力を発揮します。しかし、その法的効力を確保するためにはいくつかの要件を満たす必要があります。以下の点に注意することが重要です。

  1. 遺言者の意思能力:遺言者が遺言書を作成する時点で、意思能力があることが求められます。意思能力とは、遺言内容を理解し、自らの意志で判断できる能力のことです。
  2. 法定の形式を満たすこと:遺言書は、法定の形式に従って作成されなければなりません。形式を満たさない場合、遺言書は無効となる可能性があります。
  3. 遺留分の確保:遺留分とは、法律で定められた一定の相続人に保障される最低限の遺産の割合です。遺言書が遺留分を侵害している場合、その部分が無効となる可能性があります。

遺言書が法的に有効であるためには、遺言書作成時にこれらの要件を満たすことが必要です。特に、遺言書の形式や内容については専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。そうすることで、遺言書が無効になるリスクを減らし、遺言者の意志が確実に実現されるようになります。

まとめ

遺言書は、遺言者の意志を確実に伝えるための重要な法的文書です。

遺言書の種類には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つがあり、各遺言書にはそれぞれ異なる作成方法と効力があります。

遺言者の状況や意志に応じて最適なものを選ぶことが重要です。

自筆証書遺言は手軽に作成できる一方で、法的要件を満たす必要があります。公正証書遺言は信頼性が高く、公証人が関与するため紛失や改ざんのリスクが低いです。秘密証書遺言は内容を秘密に保ちたい場合に適していますが、手続きが厳格です。

遺言書の効力を確保するためには、遺言者の意思能力や法定の形式、遺留分の確保が必要です。これらの要件を満たすことで、遺言者の意志が確実に実現され、相続人間の紛争を防ぐことができます。

遺言書を作成する際には、専門家のアドバイスを受けることが重要であり、適切な形式で作成することで、自分の意志を確実に伝えることができます。