行政書士とトラブルになるのを防ぐためには、どのような点に気をつけたら良いか、お伝えします!

はじめに

こんにちは、内容証明虎の巻です。

最近、依頼した行政書士とのトラブルのご相談をいただくことが多くなりました。

できれば、こういったことはないにこしたことはありませんが、明らかに受任者行政書士に過失があるケースもあります。

ですが、委任者側に一定の落ち度がある場合もあるわけです。

本コラムでは、

  • 主なトラブルのケース
  • 行政書士の探し方、見分け方
  • 行政書士への依頼の留意点
  • 報酬額について

について、トラブルにならないようにするため説明していきましょう。

なお、本コラムは、行政書士の業務についての理解を深めていただくことを目的としています。

行政書士の擁護目的ではありません。

本コラムによって、トラブルのリスクが少しでも減ることを願っています。

1 主なトラブルのケース

行政書士登録者数は、全国で約5万人ほどになりました。かなりの人数です。

直近10年で見ると、登録者は増加傾向です。

特に新型コロナウイルスや、度重なる物価上昇の影響で、副業や国家資格に対しての意識が変化したともいわれています。

弁護士は、受験の過程が大学や法科大学院を経るため、合格後そのまま弁護士活動をスタートするのが一般的です。

受験目的としても、弁護士になることが重要といえます。

行政書士は、どちらかといえば、社会人経験者が行政書士登録するケースが多くみられるのが特徴です。

そのため平均年齢は比較的高めですし、行政書士に登録しない人もたくさんいます。

合格後の申し込みの期限はなく、登録時に20万円以上費用が必要になるのもネックなのかもしれません。

行政書士の業務分野を見ると、非常に広いことでも知られています。

そのため委任者側が行政書士の業務を理解しておかないと、思わぬトラブルに見舞われることが出てくるのです。

過去に受けた行政書士のトラブルの多くは、以下のパターンのいずれかです。

  • 業務処理が遅い
  • なかなか連絡をくれない
  • 案件処理方法が間違っていた
  • 予想していた業務内容が異なる。

それぞれの原因を見ていきましょう。

・業務処理が遅い、なかなか連絡をくれない

単純に受任者が忙しいケースと委任者の対応待ちというケースがあります。

例えば、旅館業の申請では、保健所や消防署に事前相談をします。

その時に一定の資料を持参して、担当者が役所で打ち合わせしますが、委任者が事前相談に必要な資料を渡していなかったケースがあります。

行政書士に依頼する申請の多くは、委任者の協力が必要です。

依頼したから大丈夫というわけではなく、その後の協力が欠かせません。

「行政書士に依頼したら、あとは待っているだけ」ではないからです。

多くの許認可では、委任者の住所や生年月日といった細かい情報が必要です。

受任者が代行して取得困難な書類もあります。

委任者でなければ取得できない場合、どうしても無駄な時間が過ぎていくのです。

「行政書士が何もしてくれない」事案も、話を聞くと実は委任者側がやるべきことをやっていないケースも稀にあります。

あとは連絡をくれないと思っていたら、行政書士側で連絡を待っていたということも少な
くありません。

お互いの協力と連携が必要ですので、密にするぐらいの意識を持つといいでしょう。

・案件処理方法が間違っていた

開業して間もない新人行政書士によくありがちな問題です。

業務に慣れていないことが根幹にありますが、処理が誤っているケースも出てきます。

行政書士の業務分野はとても広いわけですが、すべて得意であるとは限りません。

つまり、行政書士がどの業務を得意としているか、事前に確認も必要なのです。

行政書士の業務処理に違和感を感じたら、どうしてそのような処理になるかを確認すると良いでしょう、

予想していた業務内容が異なる

契約時に、業務範囲をどこまでなのか確定しなかったことが大きな問題です。

受任者側と委任者側の双方に問題があるのは、コミュニケーション不足が隠れています。

なにをどうするか、はっきりと伝えていると思い込んでいるのが問題だからです。

依頼時には、なにをどうしたいかをはっきり伝えるとともに、伝わっているか確認するといいでしょう。

定期的に連絡を取るのも大事です。

2 行政書士の探し方、見分け方

行政書士は、業務領域はとても広いわけですが、依頼内容と依頼する行政書士の専門性が合致していないといけません。

行政書士としては、業務領域のほとんどは理解しており業務もできますが、専門という意味ではそれぞれ得意分野があるからです。

風邪をひいたとき、とりあえず内科に行きませんか?

内科はいろいろな病気に対応していますが、実は心臓が悪かったというなら、循環器科を紹介するはずです。ここが専門性です。

行政書士は内科のようにいろいろと対応できる範囲が広いですが、そのなかでも専門が存在しています。

弊所は、例外的にさまざまな案件に広く対応できますが、現実的にはそのような事務所は極めて稀です。

行政書士は、個人レベルの事務所が多いためで、知識はあっても対応まではできないことが多くみられます。

そのため、行政書士に相談する前は、経歴や経験年数、専門分野を確認しましょう。

特に開業しての経過期間や開業する前の経歴が重要です。

開業間もない状態ならば、前職が現在の専門になっている可能性が高くなります。

知識と経験が生きるからです。

調べてみると、ホームページが工事中や更新されていない状態なら、少し注意が必要です。

うまく回転できていない可能性が出てきます。

初回面談の時、手続の全体像を一瞬でいえるか、対応方針をどこまで提示できるかもポイントで、担当者の実力を測れますので試してみてください。

3 行政書士への依頼の留意点

法律有資格者とコミュニケーションをとる場合、暗黙のマナーがあったりします。

以下の行為に留意しておくといいでしょう。

法律有資格者も人の子です。

あまりにも心象が悪くなると、手厚く対応してくれない可能性もあります。

相談は無料であるとは限らない

相談は、どこでも無料というわけではありません。

弊所は、基本的に相談は無料にしておりますが、法的論点が複雑で今後の手続の基礎となる、重大な相談になれば、合意の上で有料とする場合もあります。

重要な意思決定につながる一定情報を提供するならば、無償提供するのは妥当ではありません。

無償では責任が取れない場合も出てくるからです。

「ちょっと聞きたい」ぐらいの内容でも、実は込み入ったことも出てきます。

即座に回答するといっても、相当な勉強時間や経験を積む必要があるのは覚えておいてください。

口頭で1時間の相談内容は、紙に印刷したら膨大な量になると思っていただけたら分かりやすいと思います。

1分で話せる言葉の量は、分かりやすくする前提で大体300文字です。

仮に1時間の相談で、30分説明に費やしたとしたら、原稿用紙で約23枚にもなります。
重大な相談に対しる専門的な内容として、すべて無償にするのは、きついのがわかってもらえるでしょうか。

そのため、すべての事務所が無料対応するとは限りません。

見積書の作成について

よく「見積書だけでも作成してほしい」と依頼される方がいらっしゃいます。

案件の内容によっては、作業工数が確定できないため、正確な金額を出せないことがよくあるのです。

例えば、亡くなった方の相続手続手続きの場合、委任者が相続人の情報(誰が相続人であるか、等)を誤って伝えていたとしたら、工数は当初の想定より上振れします。

1人増えるだけでも、膨大な工数が発生するからです。

相続手続の方法を誤って理解していたようなケースで発生しますが、見積もりの段階では容易に想像できません。

弊所においても「戸籍はすべて揃っている」ことを前提に面談させていただきますが、実際に書類を点検すると足りないということはよくあります。

このように、案件受任時点で正確な工数を見積もるのは難しいのです。

複雑な案件の見積書の作成は、時間がかかります。

見積書の作成が社内で稟議を通すために必要かなど、しっかりと検討いただいてから確認するといいでしょう。

正確な見積もりではなく、予算確保の都合上、概算でもいいこともよくあるからです。
見積もりが欲しいといっても、実は大体でいい=概算でもいいとおっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。

弊所の場合、いただいている情報がすべて正しいことを前提とし、概算をお伝えした上で着手金を頂戴します。

そのご一定程度調査を進め、工数が確定できたタイミングで初めて正式な見積書をお出しするようにしてきました。

この見積もりにご納得いただいた上で、後続の手続を進めることが一般的です。

他の士業やインターネットの書き込みを引用し批判する

案件にもよりますが、事務の処理方法はひとつとは限りません。

法律の世界は、この場面では絶対これ、という特効薬がない場合もあるからです。

担当者によってアプローチがいろいろと出てくることもあります。

そうなると、扱いが異なる場合があるのです。

「弁護士はこういった」「他の事務所ではこういわれた」「ネットにはこう書いてあった」といわれる方がいらっしゃいます。

他の方の発言はわかりませんし、インターネットのサイトも確認は難しいでしょう。

他の法律家の意見もあるのは事実ですので、批判されるよりも、素直に正しいと思われる方に依頼されるのが正しい選択だと思います。

4 報酬額について

どの業務を、どの程度の金額で受任するかは、一定の相場があります。

それでも、原則自由に決めることが可能です。

受任件数を抑えて、比較的高めな価格設定をしている事務所もありますし、比較的割安でサービスを提供する事務所もあります。

一定の事務を依頼する契約を委任契約といいますが、委任契約は互いの信頼関係が重要です。

支払う金額に対して過剰なサービスを求めると、やむを得ず辞任となるケースがあります。
各手続の金額にはある程度の相場がありますので、それを元に依頼されるか判断するといいでしょう。

何事も安いに越したことはありませんが、価格とサービスは比例します。

安いのには何らかの理由があり、コストを抑える方法があるものです。

一部の手続は自分でやってもらうなど、工数を削減している場合もあります。

あとから、なんらかの事情で追加料金が発生し請求する場合もあるのです。

費用を比較するのは大事ですが、最も安い事務所に依頼した結果、手続が迅速にできないなら本末転倒になるでしょう。

担当する法律家と性格的な相性もあります。

価格だけでは決められないこともたくさんありますので、コミュニケーションをとり連絡の頻度などの要素を含めて検討することをおすすめします。

まとめ

少し長くなりましたが、本ページでは、主に委任者と受任者との間で発生するトラブルのケースを説明したうえで、行政書士の探し方や、依頼に関する留意点、報酬額について、解説してきました。

トラブルは、どちらかに問題がある場合もあれば、双方のコミュニケーション不足が影響することも出てきます。

特に価格や業務範囲は、トラブル発生の主な論点です。

どのようなポイントで揉めやすいかを把握し、依頼時には確認して擦り合わせることが大事でしょう。

トラブルのリスクは、未然に防ぐことが大切です。

受任者が誠実に業務を遂行することは大前提ですが、委任者側も過剰な要求に対して妥当な報酬額を支払えるかの検討も覚えておいてください。