少額訴訟の基本となる知識とそのメリットを専門家がわかりやすくお伝えします!

はじめに

こんにちは、内容証明虎の巻です。

少額訴訟とはどういうものなのでしょうか。

少額とありますから、お金がかからない訴訟のことでしょうか?

いや、そうではないのですね。

詳しくは後でお伝えしますが、裁判に不慣れな一般市民の方にも利用しやすいように、簡易迅速な手続で紛争の解決を可能にした訴訟ということができます。

そこで今回は、少額訴訟について、基本となる知識とそのメリットをお伝えします。

少額訴訟とは

少額訴訟とは、少額(60万円以下)の金銭の支払を求める場合に、通常の訴訟手続よりも簡易迅速に解決することを目的とした特別な訴訟手続のことです。

少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払を求める訴訟を起こすときに、訴えを起こす方(原告)がそのことを希望し、相手方(被告)がそれに異議を言わない場合に審理が進められます。

ただし、被告が通常訴訟での審理を希望する場合には、最初の期日において弁論をするまでに、訴訟を通常の手続へ移行させる旨の申出をすれば、その申出があった時点で通常訴訟に移行します。

少額訴訟は、原則として1回の期日で審理を終えるため、最初の期日までに、自分のすべての言い分と証拠を裁判所に提出することになります。

また、証拠書類や証人は、最初の期日にすべて調べることができるものに限られます。

そのため、紛争の内容が複雑であったり、調べる証人が多く1回の審理で終わらないことが予想される事件は、裁判所の判断で通常の手続により審理される場合があります。

通常訴訟と異なる特徴

最初に、通常訴訟と異なる特徴について、4つ確認しておきましょう。

1 少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払を求める場合に限り、利用することができます。
建物の明渡し、物の引渡し、登記等の請求はできません。

2 少額訴訟では、原則として、1回の期日ですべての審理を終えて、即日、判決が言い渡されます。

3 少額訴訟の判決に対しては、同じ簡易裁判所に異議の申立てをすることができますが、地方裁判所に控訴することはできません。

4 少額訴訟には、同一の原告が同一の簡易裁判所に年間10回を超えて利用することができないという回数制限があります。

以上が、少額訴訟の特徴といえるでしょう。

少額訴訟手続の流れ

次に、少額訴訟手続の流れを見てみましょう。

1 訴えを起こす簡易裁判所

原則として、被告の住所地を管轄する簡易裁判所です。

ただし、原告の住所地を管轄する簡易裁判所にも訴えを起こすことができます。

2 訴状等の受付

原告は、訴状、証拠書類を裁判所に提出し、訴状等が受け付けられますと、最初の期日が決められ、当事者双方にその通知がされます。

3 被告に対する書面の送付

被告には、訴状等の副本(コピー)と一緒に、口頭弁論期日呼出状、少額訴訟手続の内容を説明した書面、答弁書用紙、事情説明書などの書面が送付されます。

4 答弁書等の提出

被告は、答弁書、証拠書類を裁判所に提出し、それらのコピーは裁判所から原告に送付されます。

5 審理

原告は、訴状等に基づき言い分を述べ、証拠の申出をします。

被告は、答弁書等に基づき言い分を述べ、証拠の申出をします。

裁判所は、双方の言い分(主張)を聴いて、争点を整理し、証拠書類、証人等の取調べを行います。

6 和解

訴訟の途中で話合いにより解決することもできます(これを「和解」といいます)。

話合いによる解決の見込みがない場合には、原則として、その日のうちに判決の言渡しがなされます。

7 判決の言渡し

裁判官は、主文と理由の要旨を告げて判決の言渡しを行います。

判決は、判決書の原本に基づかないで言い渡すことができます。

裁判官は、「被告の資力その他の事情を考慮して特に必要があると認めるとき」には、一定の条件のもとに、分割払、支払猶予、訴え提起後の遅延損害金の支払免除を命じる判決をすることができます。

少額訴訟のメリット

少額訴訟には、どのようなメリットがあるのか見てみましょう。

1 判決までが早い

少額訴訟では、請求が少額で簡明な事案を迅速に処理するために、1回の期日で審理を終えて判決を言い渡すことを原則としています。

このように判決までが早いのが、少額訴訟のメリットになります。

2 手続が簡単

法律に詳しくなくても、裁判所で手続の説明を受け、裁判所備付けの定型用紙などを利用すれば、簡単に裁判の申立てができます。

このように手続が簡単なのが、少額訴訟のメリットになります。

3 金銭トラブルの内容や相手方に応じた柔軟な解決ができる

少額訴訟は、一般的に、交通事故などの損害賠償、貸金、売買代金、クレジットカード利用代金、マンション管理費、未払賃金などの金銭トラブルに利用されています。

他方で、相手方(被告)の支払能力を考慮して、分割払、支払猶予などを認める判決が可能となっています。

このように金銭トラブルの内容や相手方に応じた柔軟な解決ができるのが、少額訴訟のメリットになります。

まとめ

少額訴訟とは何か、そして少額訴訟には、どのようなメリットがあるのかについては、おわかりいただけたでしょうか。

少額訴訟は、簡単な手続とはいえ、それなりに準備が必要になります。

少額訴訟を起こす場合はもちろん、少額訴訟の相手方になられた場合にも、行政書士などの専門家にご相談されることをおすすめします。

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