格安の内容証明郵便を打ち出している行政書士に依頼してもよい?適切な相場は?

はじめに

こんにちは、東京深川行政書士事務所です。

行政書士の業務の一つに内容証明郵便があります。

この内容証明郵便について調べてみると、格安の料金で依頼が可能である旨をホームページで打ち出している行政書士事務所もあります。

ただし、その利用には慎重であるべきです。

本ページでは、格安の内容証明郵便を打ち出している行政書士に依頼しても良いのか?適切な相場はどのくらいかとともにお伝えします。

内容証明郵便作成の業務について

内容証明郵便の業務を行政書士が取り扱える法的根拠とその相場について確認しましょう。

行政書士は行政書士法に基づいて内容証明郵便を取り扱うことができます。

内容証明を相手に送るのは、弁護士法72条の法律事務に該当するため、法律の例外で認められている場合でなければ弁護士にしか行えません。

行政書士法1条の2は権利関係についての書面の作成を報酬を得て行うことを行政書士に認めているため、行政書士は権利関係についての書面である内容証明郵便の作成代行を行うことができます。

行政書士が取り扱う内容証明郵便の相場

行政書士が取り扱う内容証明郵便の相場として参考になるのが、日本行政書士連合会が発表している令和2年度報酬額統計調査の結果です。

参考:令和2年度報酬額統計調査の結果|日本行政書士連合会
(URL:https://www.gyosei.or.jp/sites/default/files/2023/07/ff82d3e2b6a6ed70a266ac57598fb314-1.pdf

平均額 21,141円
最小値 4,000円
最大値 110,000円
最頻値 20,000円

この統計から、行政書士の内容証明の相場は20,000円といえるでしょう。

格安の内容証明作成を行っている行政書士の注意点

令和2年度報酬額統計調査の結果の最小値は4,000円とされています。

インターネットで調べると相場よりも格安の内容証明作成を打ち出している行政書士も多数います。

これらについて依頼をする場合に次のような注意が必要です。

実績・民事法に関する知識が本当にあるのか?

まず注意が必要なのが、実績・民事法に関する知識が本当にあるのかという点です。

内容証明郵便は、意思表示をしたことを証明するために用いられたり、法的効果はないものの厳格な文面によって相手に威圧的な効果を与えるために用いられます。

その文面において適切な記載をしなければならないほか、相手に送るタイミングや当事者が複数いる場合に誰にどのような内容の書面を送るかなどの駆け引きも要求されることがあります。

行政書士になるための試験である行政書士試験では、民法や会社法などの民事法を学習しますが、その知識だけでは十分とはいえず、しっかりとした実務上の知識・経験が欠かせません。

きちんとした知識・経験がなく案件の受任ができない行政書士の中には、報酬を格安にすることで依頼につなげようとすることがあり、そのような理由から格安になっている場合、内容証明で得たい効果が得られないことがあります。

実際に依頼しようとすると追加料金がかかることがある

実際に依頼しようとすると追加料金がかかることがあるので注意しましょう。

内容証明郵便について、例えば次のような料金体系になっているとしましょう。

内容証明郵便基本報酬:5,000円

内容証明郵便に行政書士の氏名を表示する15,000円

このような料金体系になっている中で、「内容証明郵便5,000円~」と表示していても、実際に行政書士の氏名を表示して内容証明郵便を送る場合には20,000円と相場と同程度の報酬が必要となります。

格安という表示があっても、実際にどの程度の費用が必要かについてはよく検討する必要があります。

まとめ

本ページでは、格安の内容証明郵便を打ち出している行政書士に依頼しても良いのかについて、内容証明郵便の行政書士報酬の適切な相場とともにお伝えしました。

内容証明を依頼する場合の相場の報酬は約20,000円程度ですが、中には非常に格安のものもあります。

お得に解決できるケースもあるのですが、中には解決につながらないような内容証明になることもあるので、依頼にあたっては慎重に行う必要があります。