【番外編】行政書士として開業して成功するために必要な素養についてお伝えいたします

はじめに

こんにちは、東京深川行政書士事務所です。

本ページは、ブログの趣旨と少し異なる内容ですが、よく聞かれる内容でもありましたので、「番外編」として特別に執筆いたしました。

行政書士試験を合格され、行政書士として開業することを悩まれる方は多いですが、現役で活躍している方とのつながりがない限り、働き方や収入、必要な費用もわからないことが多いのが実際です。

弊所は、2022年に開業し、10名近い行政書士、行政書士補助者、秘書、法務担当者を育成してきました。

このことは、ウェブ上でも広報してきたこともあり、弊所がいわゆる「法務人材」の育成に熱心であることが少しずつ周知されてきたように思います。

実際、年間に数人ではありますが、弊所への入所を希望され、面談の申し込みをいただくこともあります。

弊所は、行政書士業務全般を行なっているため、良くも悪くも行政書士の良い面、悪い面を見ることができます。

自身で行政書士業務のノウハウを吸収し、独立開業していく方もいれば、行政書士として開業するのは向いていないから、会社員としてこのまま頑張ろうという方と分かれます。

本ページでは、行政書士として開業するために必要な要素や、努力するべき内容を説明させていただきます。

実務知識の学習は、受験生時代を越える

行政書士試験合格にあたり、試験対策の勉強はとても大変だったと思います。

しかし残念ながら、実務は行政書士試験よりもハードなのが実態です。

私は開業3年目になり、今でこそ実務の勉強時間は少なくなりましたが、開業当初は丸一日学習に費やすことも珍しくありませんでした。

とにかく開業1年目は、やることが多く大変で、お金が出ていくばっかりで、「本当にやっていけるのか」と心配になる方も多いと思います。

開業後、大きく転ばないためには、登録前の事前準備が本当に大事です。

登録し開業することも大事なのですが、開業に至るまでの事前準備次第で、成功するかどうか大きく変わってきます。

行政書士業務は、1案件あたりの単価の平均額が概ね10万円前後です。

この金額を顧客から頂戴するのですから、決して簡単な業務ではないことは想像に難くないと思います。

それ故に、金額に見合うサービス、知識を提供できるよう、努力することは当たり前のことなのです。

行政書士の仕事は、物理的な仕入がありませんが、知識という面で常に仕入が必要な職種です。

勉強することが仕事ですので、試験をきっかけに勉強はもうしたくない、という方は、残念ながら行政書士という仕事は向いていない可能性が高いです。

開業当初から業務分野を絞り込みすぎると失敗しやすい

弊所にお問い合わせいただく方は、何らかの分野を専門分野として、開業されることを希望していることが大半です。

いざ補助者として働いてもらう場合、弊所は様々な案件がありますから、様々な許認可や、行政手続、申請に関わってもらいますが、人によっては様々な案件に触れることを露骨に嫌がる方もいました。

「自分はビザを専門としていきたいから、ビザ以外の案件は関与したくない」というのが本音なのでしょう。

大手の行政書士事務所に所属し、その分野のみに関与する人材になる場合、それでも良いのかも知れません。

一方で、「行政書士として開業し、生活ができるレベルにやっていく」のであれば、行政書士の王道といわれる業務は、得意でないとしても、それなりにこなせないと、話にならないです。

どうしても苦手分野であっても、ヒヤリングして、手続の概要を説明でき、適切な担当者に引き継げるレベルの知識は必要です。

依頼者は、「行政書士であれば、対応してもらえる」という期待の元問い合わせがきますので、「自分は専門ではないので、他を当たってください」と問い合わせを断ってしまうと、間違いなく次の問い合わせは来ません。

何らかの事情で対応できなくても、「この分野は、一緒にやっている●●行政書士が専門としているので、内容お伺いして、折り返し連絡くるよう致しますね」と対応するのが最低レベルです。

この対応をしておくと、紹介先から自分の得意分野の業務を紹介してもらえますし、顧客からも別の相談が来る可能性が非常に高まります。

特定分野だけで生計を立てられる行政書士は一握り

筆者は様々な行政書士と会ってきましたが、限られた分野のみで生計を立てている行政書士は、本当に一握りです。

圧倒的な業務経験を持っているベテランの方は別ですが、通常は、得意分野を中心に、行政書士が対応できる王道分野は広く対応できる方がほとんどです。

例えば、遺言・相続を中心としながらも、古物や産業廃棄物、民泊といったよく問い合わせのある許認可の申請の対応ができ、必要に応じて契約書の作成や公正証書の作成ができる。

このように広く様々な業務ができると、売上が非常に安定しますし、いろいろな業務ができる行政書士として、リピートしていただけますし、紹介もしていただけます。

行政書士は、他の士業と比較して顧問契約になりずらい職種ですので、同じ顧客から継続して案件をもらえるよう努力が必要です。

行政書士は営業職である

行政書士は、文書作成力はもちろんですが、営業スキルがとても重要です。

いくら知識が豊富でも、接客対応ができないと、独立して開業してもやっていけません。

直接のコミュニケーションがどうしても苦手な場合、web上で業務に関するやりとりがほとんど完結するような仕組みを構築すべきです。

営業ができず、オペレーション構築にも消極的な状態では、独立開業はかなり厳しいと言えるでしょう。

集客知識は必須

行政書士として開業した場合、どのようにしてお客さんと接点を持つかがとても重要です。

筆者も開業後2年間は様々な試行錯誤をし、自分なりのスタイルを確立するまでに膨大な費用と時間を投下しました。

最近は、webでも集客ができるようになりましたので、webに関する知識は必須と言っても過言ではないでしょう。

全て自分でできなくても、web集客に詳しい知人が数名いるだけで事務所運営はとても楽になります。

請求や、売上金回収も重要業務

行政書士の業務は、業務を進めて終わりではなく、代金の回収も重要な仕事です。

代金を回収できなくなると、事務所が回らなくなるため、代金を速やかに回収するための仕組みづくりや、接客を考えることが重要です。

そして、料金体系や、何をもって料金が発生するかを決めることも事前に考えておく必要があります。

やり方次第で月額売上や手取りは弁護士を上回る

行政書士は他の士業と比べると稼げない、と世間では言われていますが、自分なりのスタイルをしっかりと確立すれば、場合によっては売上から経費を引いた金額は、弁護士をも上回ります。

弁護士は、事務所経費や弁護士資格を維持するコストがとても高く、固定費が高くなりがちです。

売上としては、月額100万円を超えても、経費が月40万円とすると、手元には60万円しか残りません。

一方で、行政書士は固定費が非常に安いため、弁護士ほど売上を立てなくても、低コストで事務所運営をできれば、多くのお金を手元に残すことができます。

まとめ

少し長くなりましたが、まとめると以下の通りです。

  • 勉強は開業後も続く
  • 売上を安定させるためには、広く様々な業務をこなせる必要がある
  • 営業や集客知識も並行して行う必要があり、請求も行政書士の仕事である
  • 行政書士の固定費は低く、運営方法次第では、残せるお金は他士業を上回ることもある

行政書士開業にあたり、お困りごとがございましたら、是非ご相談ください。