行政書士と企業法務 現役行政書士が、企業の法務部門の業務内容について解説します!

はじめに

こんにちは、東京深川行政書士事務所です。

本ページをご覧の方の中には、企業法務に携わっていらっしゃる方もいらっしゃるもしれません。

その名のとおり、企業法務とは企業に関する法律事務を指し、規模の大きい企業では「法務部」、規模の小さい企業では「総務部」「総務課」が担当していることが多いように思います。

これは経験則ですが、総社員数が50名から100名を超えたあたりから、法務担当者の採用を検討される企業が多いようです。

本ページでは、企業法務の主な内容と、行政書士がお手伝いできるポイントについてお伝えいたします。

企業法務の業務について

企業法務の業務を大きく分けると、次の1から6に分類されます。

1 契約書案の社内審査

契約書は自社及び相手方との間でのルールを決める行為であり、法律に関する知識が必要とされます。
どのような権利義務が生じるのかを意識した契約書を抜けや漏れなく作成する必要があります。

2 債権管理

売掛金などの債権回収が滞ると、キャッシュフローの悪化が生じてしまいます。
未払いとなった債権を回収するには、内容証明郵便による催告を行ったうえで、最終的には支払督促や訴訟などの法的手続を講ずる必要があります。

3 行政対応

企業をめぐる環境変化のひとつに法令や行政からの通知の改正があります。
これらの影響がどのように自社に及ぶのかを調査・検討し、社内の関係部署に周知するのも企業法務の重要な仕事です。行政の許認可が必要な業界では、申請手続、立入検査対応等も所管となります。

4 紛争解決

社外や社内でトラブルが発生又は顧客からクレームが寄せられた際に、企業法務担当者は、法に基づいた相手方との交渉のほか、裁判外紛争解決手続(ADR)、訴訟により紛争を解決する必要があります。

5 社内向けの法律相談や助言

経営者や事業部から法律相談を受けるのも法務担当の重要な業務です。
法務担当は、相談・ヒアリングを通じて、相談内容や問題点を理解し、経営者や事業部に対して助言を行います。
問題となる事業ごとに必要とされる法令が異なるため、幅広い知識が求められます。

6 株主総会、取締役会等の運営と記録

企業の意思決定を行う株主総会や取締役会等、会社の内部機関の活動を適法に行うとともに、記録することを「機関法務」「商事法務」といいます。

商事法務は、会社法を中心とした法律知識が必要なことから法務担当部署の所管となっていることがあります。

また、機関法務の中には、企業の組織再編や上場対応等の業務が含まれることがあります。

企業法務で行政書士がお手伝いできること

企業法務は幅広く深い法律の知識やノウハウが必要とされます。
その一部を法務の専門家である行政書士にアウトソースすることで、業務の効率化を図ることが可能となります。

1 契約書案の社内審査

特定の業界を専門にしている行政書士では、当該業界に特有の契約書について経験が豊かで、正確かつ迅速な対応が可能です。

自社の過去の契約書しか知見がないということが多い法務担当者と比較して、同業他社の契約書を複数担当した経験がある行政書士は、漏れや抜けがない契約書を作成することが可能です。

2 債権管理

債権回収の第一歩は内容証明郵便による催告ですが、内容証明郵便は一定の様式に沿って作成する必要があります。行政書士は内容証明郵便の作成になじみが深く、弁護士等の他の士業に依頼するよりも比較的安価に対応でき、コストパフォーマンスに優れています。

もし、内容証明郵便で相手が応じてこなかった時は、司法書士・弁護士に依頼する必要がありますが、相応の費用がかかることから、改めて費用対効果を見極める必要があります。

3 行政対応

官公署へ提出する書類を作成し、これを代理することは行政書士の一丁目一番地というべき業務です。
円滑かつスピーディーに許認可を得ることで、収益機会を逃しません。

4 紛争解決

行政書士会では、ADRセンターにおいて調停手続を行っています。この調停手続は、裁判と異なり、当事者双方の話し合いによってお互いに満足のいく解決策を作り出していく方法です。

専門的なトレーニングを受けた調停人(行政書士)が間に入ることで、当事者の方のお気持ちを十分に考慮する
ことができること、当事者の方の都合に合わせることができることなど柔軟性がある解決が図られます。
また、手続は裁判とは異なり、非公開で進められます。

5 社内向けの法律相談や助言

相談の結果、行政に対して書類を提出することや、権利義務に関する書類を作成することとなったとき、行政書士は必要とされる書類の作成についてサポートが可能です。

6 株主総会、取締役会などの運営

各種議事録の作成、規程や規則の作成も行政書士の業務です。法的に漏れのない議事録は、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。

また、組織再編の際に生ずる定款の変更についてもサポートが可能です。

まとめ

本ページでは、企業法務の概要と企業法務において行政書士がサポートできることをご紹介しました。

行政書士は法務のプロとして、企業法務担当者の良きパートナーとなることができます。

役所への許認可申請や身近な法律に関するお困りごとがありましたら、東京深川行政書士事務所まで、お気軽にご相談ください。