遺言書は行政書士に依頼するべき?行政書士ができることや依頼の流れを紹介

遺言書の作成は行政書士に依頼が必要?

前提として、遺言書は遺言書本人だけで作成もできます。したがって、遺言書の作成について必ずしも行政書士に依頼する必要はありません。

しかし、遺言書に関するルールは多く、守れていないルールが少しでもあれば遺言書が無効になってしまう恐れがあります。その上、遺言書を作成するまでの手続きは複雑な内容です。

以上の理由から、専門知識のない人が有効な遺言書を一人で作成するのは容易ではありません。

専門家である行政書士に依頼すれば、自身の労力を最小限に抑えながらも、確実に効力を発する遺言書を作成できます。遺言書について疑問や不安がある人や、労力を抑えたいと考える人は、行政書士に依頼するのがおすすめです。

遺言書作成に際して行政書士ができること

遺言書作成に際して行政書士ができることの具体例を4つ紹介します。

遺言書の作成に関する相談やアドバイス

遺言書の作成自体は本人にしかできません。また、遺言の内容を決められるのも遺言書を作成する本人のみです。そのため行政書士は遺言書の作成代行を行うことはできず、あくまでアドバイスやサポートを行う立場となります。

法的に有効な遺言書を作成するには、所定の要件を守った上で必要事項を漏れなく記載する必要があります。行政書士に依頼すれば遺言書の作成におけるルール面でのアドバイスを受けられるため、遺言書の正確性が担保されるでしょう。

財産目録の作成

行政書士は遺言書の作成はできませんが、財産目録の作成代行は可能です。財産目録の作成に必要な書類の取り寄せや財産の調査等、手続きの代行も依頼できます。

財産目録は相続財産の種類や各財産の金額(評価額)を一覧にしたものです。作成が必須なわけではありませんが、財産の内容を正しく把握して適切な遺言書を作成するには、財産目録も作成するのが理想といえます。

なお、相続財産に不動産や有価証券等が含まれている場合、遺言書の作成時と相続発生時では評価額が変わるケースがあります。財産目録は相続財産の棚卸・明確化が主な目的のため、財産の評価額が多少変動する分には特に問題ありません。

遺言書の作成に必要な手続きの代行

行政書士は遺言書の作成代行はできませんが、遺言書の作成に必要な手続きの代行は可能です。

行政書士に代行を依頼できる手続きとして以下の具体例が挙げられます。

  • 相続人の調査
    相続権を持つ法定相続人を調査します
  • 相続関係図の作成
    相続関係図は被相続人(遺言者)本人と相続人の関係を図に表したものです。遺言書の作成に必須なわけではありませんが、基本となる法定相続分を正確に把握するためには作成するのが理想です
  • 戸籍謄本の取得
    法定相続人を正しく把握するには戸籍謄本が必須です。複数の戸籍謄本が必要になることもあり、戸籍謄本の収集だけでもかなりの時間がかかるケースもあります

また、公正証書遺言を作成する場合は2人以上の証人が必要です。行政書士には公正証書遺言の作成時に必要な証人になってもらうこともできます。

遺言の執行

遺言の執行とは遺言者が亡くなった後に遺言の内容を実行する手続きです。遺言の執行を行う人を遺言執行者と呼びます。

遺言執行者を指定するメリットとして以下の3点が挙げられます。

  • 遺言の内容が確実に実現される
  • 遺言の実行に必要な各種手続きを任せられる
  • 相続人同士のトラブルが起こるリスクを抑えられる

遺言執行者は未成年や破産者を除き誰でも就任できます。相続人を遺言執行者にすることも可能です。

しかし遺言の実行にはやるべき作業が多く専門知識も必要な上、特定の相続人が就任すると他の相続人とトラブルになる恐れもあります。そのため、行政書士のような第三者の立場にある専門家に依頼するのが安心です。

遺言書 行政書士に依頼する際の流れ

遺言書の作成について行政書士に依頼する際の流れを紹介します。

  1. 行政書士に依頼したい内容を伝える
  2. 行政書士が相続人や相続財産の調査を行い、財産目録や相続関係図を作成する
  3. 2の結果をもとに遺言者が遺言の内容を決める。遺言の内容について相談し、必要に応じてアドバイスを受けながら遺言を作成する
  4. (公正証書遺言の場合)行政書士から公証役場へ連絡し、3で作成した内容を伝えて遺言を確定させる
  5. (公正証書遺言の場合)公証役場で手続きを行う

自筆証書遺言の場合、4および5の手続きは必要ありません。遺言書が法的に有効であることを確認後、署名押印を行えば作成完了です。自筆証書遺言の作成が完了したら、遺言者が自身で保管もしくは法務局へ保管を依頼します。