相続の流れとは?必要な手続きや期限、注意点を解説
Contents
相続の流れを期限別に解説
相続ではやるべきことが多く存在します。今回は相続の流れとして、死亡日または相続開始を知った日からの日数に分けて、それぞれのタイミングでやるべき手続きを紹介します。
相続開始後すぐ
相続開始後、すなわち被相続人が亡くなってすぐにやるべき手続きとして以下の例が挙げられます。
- 死亡診断書の受け取り
- 死亡届の提出
- 死体火葬許可申請書の提出
- 葬儀の準備、親族や関係者への連絡
葬儀に関連する手続きが該当するイメージです。
10日または14日
相続人が亡くなった日から10日もしくは14日以内に必要な手続きとして、年金受給権者死亡届の提出が挙げられます。亡くなった人の年金受給を停止するための手続きです。
年金受給権者死亡届の提出期日は加入していた年金の種類によって異なります。厚生年金の場合は亡くなった日から10日以内、国民年金の場合は14日以内に手続きが必要です。
14日以内
相続人が亡くなった日から14日以内に行う必要のある手続きとして以下の2つが挙げられます。
- 被相続人の国民健康保険・介護保険の資格喪失の手続き
自治体の窓口へ保険の資格喪失届を提出、あわせて保険証の返却も必要です - 世帯主の変更届の提出
被相続人が世帯主であり、残された世帯員が2人以上の場合に必要な手続きです。被相続人が単身世帯の場合や世帯主でなかった場合、残された世帯人が1人で世帯主が明確な場合等には必要ありません
なるべく速やかに
以下の手続きは特に期日は設けられていませんが、相続をスムーズに進めるためなるべく速やかに着手するのが理想です。被相続人が亡くなってから1ヶ月以内に行うのが理想といえます。
- 遺言書の有無の確認
遺言書の有無によって、相続の進め方や遺産分割協議の必要有無等が変わります - 相続人の調査、法定相続人の確定
適切な相続を行なうため、相続人の調査および確定が必須です。相続人を調査するには、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本すべてが必要となります - 相続財産の調査
相続人の調査とあわせて、相続の対象となる財産の調査も必要です - 遺産分割協議の着手
法定相続人の確定や相続財産の調査が済み次第すぐに行うのが理想です
相続税の申告および納付は、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。上記の手続きを始めるのが遅くなると相続税申告の手続きに着手できるのも遅くなってしまい、期日に間に合わなくなる恐れがあります。なるべく早く作業を開始しましょう。
3ヶ月以内
相続放棄や限定承認を行う場合、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に手続きをする必要があります。
相続放棄は一切の相続権を放棄すること、限定承認はプラスの財産の範囲内でのみマイナスの財産を相続することです。どちらも家庭裁判所で手続きを行う必要があります。相続放棄は相続権を放棄する相続人のみの手続きで実施できますが、限定承認は相続人全員の合意が必要です。
相続開始を知った日から3ヶ月を過ぎてしまうと手続きが出来なくなるため、相続放棄・限定承認を行う場合は速やかに手続きを進めましょう。
4ヶ月以内
被相続人が亡くなった日または相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に準確定申告を行う必要があります。期日の数え方が少し特殊で、死亡日や相続開始を知った日の当日ではなく、その翌日から数える点にご注意ください。
準確定申告は亡くなった人の所得税の確定申告です。亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得税について申告します。
被相続人に事業所得や不動産所得があった場合や、亡くなる前に毎年確定申告をしていた場合、準確定申告が必要な可能性が高いです。被相続人の居住地を管轄する税務署や、確定申告を依頼していた税理士へ確認するのが安心です。
10ヶ月以内
被相続人が亡くなった日または相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告および納付が必要です。前項で紹介した準確定申告と同様、当日ではなく翌日から数え始める点にご注意ください。
なお相続税は課税対象となる遺産総額が基礎控除の範囲内であれば申告の必要がありません。基礎控除額は以下の式で計算します。
相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
遺産総額が基礎控除を超える場合、原則として相続税の申告が必要です。
相続税は計算や申告手続きが複雑であり、専門知識がないと難しい部分があります。相続税申告を正確に行うため、専門家である税理士のサポートを受けるのが安心です。
その他
相続関連で必要なその他の手続きとして以下が挙げられます。
- 遺留分侵害額請求
相続開始と遺留分侵害を受けている事実を知った日から1年以内に手続きが必要です - 国民年金の死亡一時金の請求
被相続人が亡くなった日の翌日から2年以内に行う必要があります - 遺族年金などの請求
被相続人が亡くなった日の翌日から5年以内に行う必要があります