東京都江東区でニーズが増える「死後事務委任契約」

はじめに

こんにちは、江東区最大級の行政書士事務所 東京深川行政書士事務所です。2023年の5月頃から、死後事務委任契約に関する相談が急増しております。江東区界隈では、成年貢献や、資産凍結対策、終活に関するセミナーやイベントが多く開催されており、その影響があるのではなかと分析しております。

Google検索でも、「江東区 終活」「江東区 死後事務委任契約」というキーワード検索で弊所のHPにアクセスしていただく件数が多く、自身の死後に関する関心が高いことがわかります。

多くのケースにおいて、自身の両親への終活や、相続手続がひと段落し、次は「自分にもしものことがあったら」と考え、弊所にご相談をいただくことが多いようです。

今回のコラムは、死後事務委任契約についてお話しさせていただきます。

将来の備えは遺言書だけではない

相続対策の第一歩は、公正証書遺言の作成ですが、身近に親族が居ない、あるいは頼りにくい環境にある場合は、それだけでは終わりません。

なぜなら、財産相続が仮に終了したとしても、遺品整理や家の引き渡し、納税手続、スマートフォンやインターネットの解約手続をしなければならないからです。

そんなみなさまの助けとなるのが「死後事務委任契約」です。

存命中のさまざまな不安に対しては、遺言書や成年後見制度を上手に利用することで対処することが可能ですが、死後のことについて、遺言書に希望する葬儀や埋葬方法等を記載しておき、信頼できる人に遺言執行者を頼んでおけば良いかというと、残念ながらそれだけでは不十分です。

原則として、遺言書は、遺産の分配についてのみ法的効力を持ちますが、それ以外のことを書いてはいけないというわけではないものの、書いたからといって絶対の効力を持つものではありません。

また、死後の事務は遺言執行者の業務の範囲ではありませんので、遺言執行者を選んだというだけでは、やはり不十分なのです。

遺言書についてご相談を受けるとき、「葬儀や埋葬についても書いておきたい」といったご要望をよくいただきます。

しかしながら、遺言書は、原則として財産についてのみ法的な拘束力を持つものです。

ご本人が、「樹木葬にしてほしい」「永代供養にしてほしい」と願い、それを遺言書に書いておいたとしても、ご遺族の方々が、「すでにお墓があるのだから」と遺骨を持っていってしまえば、どうすることもできないのが実際のところです。

死後事務委任とは?

人が亡くなったとき、そのあとにしなければならない手続は意外に多く、とても時間がかかります。行政書士や司法書士、弁護士をはじめとする法律家に多額の費用を払ってでもこれらの業務を依頼するのは、手続内容が専門的かつ煩雑だからです。

法整備により、戸籍書類の取得が簡略化されたり、改善傾向にあるものの、それでも手間であることに変わりはありません。

死後の事務手続は、葬儀や財産の相続手続だけでなく、先述の通り、遺品整理や家の引き渡し、納税手続、スマートフォンやインターネットの解約手続と多岐に渡ります。

誰も居なくなった自宅の片付けを誰が行う?
携帯電話の解約は誰が行う?
公共料金の支払いは誰が止める?
かわいいペットの行く末は?

考えれば考えるほど、気になってしまいませんか?
その不安は、「死後事務委任」で解消することができます。

みなさまがまだ元気なうちに「私が死んだときには、あなたにお願いします」と頼んで契約しておくことを、「死後事務委任」といいます。

通常、ある人が亡くなったとき、死後の手続は親族が行うことがほとんどです。逆に考えると、もし死後のことを親族以外の人に頼むのであれば、この死後事務委任の契約を結んでおかなければ、円滑に行うことができません。

特に近年は、現実問題として、親族の方が居ない、あるいは遠くに住まわれていることが多く、もしものことが有った場合に対応できない可能性が高く、お困りの方が多いのが実際です。

「死後事務委任」は手続に慣れている専門家に頼むのがおすすめ

死後の事務手続の処理を、生前から頼むことができる「死後事務委任」は、誰と契約するか自由に選ぶことができますが、できれば行政書士、司法書士、弁護士といった法律の専門家に依頼することをおすすめします。

当然の話ですが、死後事務委任契約は、実際にその委任事務が行われるときはみなさまの死後に行われます。

つまり、お願いした相手が契約のとおりに実行してくれたのか、確かめることはできません。ですから、信頼のおける相手にお願いすることが重要になります。

また、死後事務のなかには、慣れないととても面倒な手続もあります。ご友人に死後事務を委任され引き受けたものの、亡くなられたあと実際に手続をしようとしてうまくいかず、結局受任者の方が専門家に依頼することになってしまうというケースも実際あります。

専門家に依頼するとなると、当然費用がかかりますが、善意で引き受けてくれた知人に負担を強いてしまいうのであれば、最初から専門家を頼ったほうが無難ではないでしょうか?

死後事務委任にはどれくらいの費用がかかる?

死後事務委任契約をするとなると、どれくらいの費用がかかるのか、気になることと思います。

実は、報酬に決まりはなく、各士業によって金額も支払いタイミングも全く異なります。

そのため、死後事務委任契約の締結を検討する場合は、実際にどの程度の費用が発生するかを確認する必要です。

弊所の場合、死後事務委任契約を締結する場合、公正証書作成時に10万円と公正証書の作成費用を頂戴し、実際にご希望される事務内容から工数を見積もり、別途費用を事前または、事務発生時に頂戴することになります。

事務の工数は、ご家庭によって全く異なるため、15万円程度で収まることもありますし、不動産を多数お持ちの場合は100万円近い見積額になることもあります。

金額に関しては、安ければお得というわけでも、高ければ安心というわけでもありません。信用できる人に頼むという点が重要です。

元気なうちに、死後の手間を減らしておこう

死後に行うべき事務を書き出してみると、意外と多いことがわかります。

それぞれについて、窓口まで足を運んでやりとりしたり、書類の数も少なくないため、とても手間がかかります。

場合によっては、窓口が開いている時間帯に何度も足を運ぶ必要も出てくるため、日中に仕事があって自由に時間が作れない人であれば、なかなか手続が進まず余計に大変な思いをすることになります。

そのため、自身の死後のことについて、まだ元気なうちによく考え、準備されることをお勧めします。

具体的には、不要な銀行口座やクレジットカードの解約、不要な動産、不動産の処分です。特に、死後の事務の中で、不動産の名義変更や、銀行口座の解約は実際に死後に解約手続をするとなると、とても煩雑です。

これらをやっておくだけでも事務処理の負担が減り、結果として費用を抑えることができます。

可能であれば、運転免許証を返納し、使用頻度が減っていれば車を処分しておく等、できることはたくさんあります。

もちろん、生きているうちに必要なものを、無理して処分したり、手放したり、諦めたりする必要はありません。

ただ、できることがあるなら極力やっておこう、という心づもりは持っていたほうがいいと思います。

まとめ

少し長くなりましたが、本ページでは、遺言書の法的効力は遺産の分配のみであり、財産以外のことは「死後事務委任契約」で対策することをお話しさせていただきました。

自分自身の死後のことについて、元気なうちによく考え、検討し、備えるための行動を強くお勧めいたします。

弊所は、公式LINEや対面にて、無料で相談を承っております。

死後のことについて、ご不安なことがある方は、お気軽にお問い合わせください!


コラム

前の記事

行政書士の仕事とは?